炎上した「Dove」広告は何が問題? 女性に寄り添うつもりが“逆に傷つけてる”ワケ

炎上した「Dove」広告は何が問題? 女性に寄り添うつもりが“逆に傷つけてる”ワケ

肝心のメッセージより、否定したい言葉が目立つデザイン

 広告のデザインも影響している。各基準は濃い色で書かれており、なにより文字自体が大きい。一方、「#カワイイに正解なんてない」という文字は各基準よりも小さく、色も明るいため目立たない。また、各基準に異議を唱えることを意味しているペンで書き殴ったような横線の色もこれまた明るい。


 こうしたデザインにより、むしろ各基準を否定するどころか引き立てている印象さえ与え、やはり「#カワイイに正解はある」というメッセージを発しているように錯覚してしまう。

Doveはどの立ち位置から発信したかったのか

 そもそも、Doveの立ち位置にも問題があるのかもしれない。Doveは主に洗顔料や石鹸などを取り扱っているが、いずれも今回登場した各基準に何かしらのアプローチをしてくれるわけでは基本的にない。Doveが手がける商品と各基準の関係性はあまり深くない。つまりは部外者・門外漢である。Doveの主張の良し悪しは置いておいて、部外者が各基準について言及していることに腹を立てた人も一定数いるのではないか。


 Doveは今回、広告掲載だけではなく、16~19歳の女性400名を対象にした容姿や体形に関するアンケート調査も実施している。ルッキズムを助長して炎上騒動に発展した取り組みに、結果的に多くの若者を関与させた罪は重いように思う。ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社が今後どのような動きを見せるか注視したい。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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