「自分はなぜ養子になったんだろう」自分の生い立ちに葛藤する子どもたちを連れてアメリカへ【鮫島医師インタビュー】

「自分はなぜ養子になったんだろう」自分の生い立ちに葛藤する子どもたちを連れてアメリカへ【鮫島医師インタビュー】

縁組のそのあとのサポートまで考えてほしい

――養子の子どもたちが、自然な形で自分の気持ちを素直に伝えられる場があるといいなと感じました。

鮫島 私が特別養子縁組に関わるようになって、37年たちます。初期のころと比べると制度は整い、養子縁組のしかたのガイドラインも固まってきました。しかし、養子縁組したあとのケアはまだまだといわざるを得ません。国の援助で、養親さんや養子の子どもたちが交流できる場は少なく、あっても機能していないケースもあります。子どもたちが成長して多感な時期を迎えたとき、本人や家族をサポートする公のしくみも残念ながらありません。

縁組を成立させて終わり、ではなく、次の子育て世代となる養子の子どもたちの成長まで見据えて、国が支援してくれたらと願います。

今回アメリカに行った子どものほかに、私が縁組に関わった子どもはまだ150人います。この子たちの将来を支えるところまで関わることが私の使命だと思っていますし、「スターキッズプロジェクト」が、すべての養子の子どもたちの道を開く支援体制の礎になるようにしたい。2回、3回と今後も続けていきたいですね。

監修・写真提供/鮫島浩二先生 取材・文/茂木奈穂子、たまひよONLINE編集部

「スターキッズプロジェクト」に参加した子どもたちは、帰国後も“LINE”グループでつながり、絆(きずな)を深めているそうです。子どもたちの抱える悩みは単純なものではなく、簡単に解決できるものではないかもしれません。けれど、この旅で「楽しかった」だけではない、生きる糧のようなものを感じ取っているのではないでしょうか。

鮫島浩二先生

PROFILE
産婦人科医。さめじまボンディングクリニック院長。1981年東京医科大学卒業。中山産婦人科クリニック副院長などを経て、2006年さめじまボンディングクリニックを開業。2013年「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」を設立、代表を務める。

■さめじまボンディングクリニック
https://www.bonding-cl.jp/
■あんしん母と子の産婦人科連絡協議会
https://anshin-hahatoko.jp/

●掲載している情報は2024年9月現在のものです。

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