【私って、上の子可愛くない症候群!?】知っておきたい子どものこと Vol.13 | HugMug

下の子は可愛いのに、上の子はそうは思えない……。嫌悪感を感じたり、きつく当たったりしてしまうことも。この「わが子なのに可愛いと思えない」という状態に陥ると、自分自身に罪悪感を感じてしまうママパパが多いようですが、実は子育てをするうえで、誰にでも起こりうることなのです。近年呼称として定着してきた「上の子可愛くない症候群」。原因と解決策を、幼児教育の専門家であり、ふたりのお子さんの母親でもある、岩立先生にお聞きしました!

教えてくれた人

岩立京子先生
東京家政大学子ども支援学部子ども支援学科教授
臨床発達心理士。発達心理学、幼児教育が専門。東京学芸大学教育学部幼児教育学分野教授を長年つとめあげて現職。東京学芸大学附属幼稚園園長を兼任しながら1男1女を育てたことから、子どものほめ方やしかり方の解説には定評があり、的確なアドバイスが共感を呼ぶ。『子どものしつけがわかる本』(主婦の友社)など著書多数。

CONTENTS

そもそも「上の子可愛くない症候群」ってなあに?
上の子可愛くない症候群に陥ってしまう理由は?
どうやって切り抜ければいいの?

そもそも「上の子可愛くない症候群」ってなあに?

下の子が生まれときや手がかかってきたときに、お兄ちゃんやお姉ちゃんが可愛いと思えなくなる経験、ありませんか? 「上の子可愛くない症候群」は、上の子が可愛くないと思ったり、そこから生じるさまざまな行動や状態のことを指します。このような感情を抱くと罪悪感を抱くママパパは少なくありませんが、実はこの感情、ごくごく自然に生まれるものなのです。

上の子どもに対して、こんな経験ありませんか?

・叱る回数が多くなっている
・知らず知らずのうちに無視してしまう
・上の子からの言葉に対して応答しないことが増えてきた
・気づくと睨んでいる
・笑顔を向けるのは大切だと思いながら笑顔が向けられない
・行動にイライラしがち
・思わず手が出そうになることがある

当てはまる方は、「上の子可愛くない症候群」に陥ってる可能性があります。それでは、どうしてこのような状態に陥ってしまうのでしょうか。

上の子可愛くない症候群に
陥ってしまう理由は?

理由1
生物学的特性上、幼い子どもほど可愛く見える

赤ちゃんの特徴として、体に対して頭が大きい、目と目の間が広い、鼻と口が小さく頬がふくらんでいる、体がふっくらしている、動作がぎこちないなどがありますよね。赤ちゃんはこの生物学的特性によって、大人が自然と可愛いと思えるようにできていて、手を差し伸べたいという気持ちを引き出しています。人間だけでなく、犬や猫の赤ちゃんも同じ。生まれてすぐにひとりでは生きられない赤ちゃんが、大人による愛情行動を引き起こす、生存のための能力といえます。つまり、上の子よりも、下の子の方をより可愛いと思ってしまうのは当然のことなのです。

理由2
下の子に手がかかり、気持ちに余裕がなくなる

下の子は上の子に比べて、どうしても手がかかるもの。お世話が大変になって親の気持ちに余裕がなくなったときに、上の子が手がかかるようなことしてきたら、誰だってイラッとしてしまうものですよね。しかも、子どもはすごく敏感ですから、下の子ばかりが注目されていると、上の子は承認欲求が高まり、赤ちゃん返りをして、さらに手がかかってしまうという悪循環に。

理由3
上の子に対する要求の水準が高くなる

成長するにつれてできることが増えると、自然と親側の要求水準は高まります。「もう3歳なんだからひとりでできるでしょ」「お兄ちゃんなんだからわがまま言わないの」のようにです。また、自己主張をするようにもなり、話せる言葉も増えるので、親の言動に対して反抗することも多くなるでしょう。冷静なときは、成長として捉えられるのですが、余裕のないときに赤ちゃんのような言動をとられたり反抗されたりすると、イラッとしたりカチンとくるものです。

理由4
自分と性格が違い理解できない

「なんでこんなにわがまま言うの?」「なんでこんなことするんだろう?」「もうわけわかんない!」。自分と子どものタイプが違うことも、「可愛くない」と感じる原因のひとつ。子どもに対して違和感を覚えることもあるでしょう。ほかには、自分の幼少体験から子どもの性格を理解しようとして、それに当てはまらなくなるとイライラしてしまったり。子どもの個性はさまざまですし、親と子どもは別の人間。理解できなくて当然なのです。

理由5
育児を完璧にこなそうとする

育児を頑張りすぎている方や、完璧にこなしたいと思っている方は、「可愛くない症候群」に陥りやすいかもしれません。子どもが思い通りにならないと許せないわけです。「いい加減にしなさい」「自分はこんなに頑張っているのに」ときつく当たってしまうことも。ワンオペ育児によってお世話の負担が偏りすぎている場合も、気持ちに余裕がなくなりがちなので、子どもに対してイライラすることが増えるでしょう。

このように、さまざまな要因があるため、子育てをしていれば「誰にでも起こりうる、ごく自然なこと」であると考えられます。ですが、悪循環に陥ると、手が出てしまったり、大きな問題に発展しかねません。

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