突然ですが、ブッダとはどういう意味かご存じでしょうか。仏陀(ブッダ)とは「悟った者・真理に目覚めた人(覚者)」という意味(引用元:全日本仏教会HP)。ブッダ、さすがに聞いたことあるよ、意味も知ってるよって方は多いと思います。ところがですよ、ブッダはなんと「ご機嫌だった」そうです。それも「ずっと」です。悟りを開くとはそういうこと? とお思いかもしれませんが、心がけていたことがあったそう。今回はブッダの教えから学ぶ【人間関係で荒れないための8のルール】で、ご機嫌になるための方法を紹介します!
仏教での“機嫌”の意味とは?
もともと、機嫌とは「譏嫌」と書き、一般の人から修行僧の態度が悪く思われることをやめさせる戒めの一部でした。感じの悪い態度ではない=立派で尊敬に値する姿が転じて、いい状態のことを指す言葉になったのです。
ブッダの教えから説く【人間関係で荒れないための8のルール】
❶ 他人を変えようとする〝ムダな努力〟をやめる
「人は他人の手で変えることはできない」
人は他人を清めることはできない、とブッダは言っています。人が変わるのは「変わりたい」とその人が決意したときだけで、 他人の言動で人を変えることはとても難しいことなのです。「この人にはできるはず」「これくらいはできて当たり前」「こうすればもっと良くなるのに」などと勝手に思い込み、無理強いをしたりしていないでしょうか。無理を強いて、相手が思うように動かなければ、そこに怒りの感情が生まれます。怒りは人を振り回します。自分自身の心もかき乱してしまいますし、相手の心に重圧を与えてしまいます。良い循環は生まれません。「自己こそ自分の主。他人がどうして主であろうか」というブッダの言葉も心に留めておきたいものです。
・ご機嫌になるヒント
「自分は自分、相手は相手。一定の距離を置くことが大切」
いつも時間に遅れて来る友人にイライラするよりも、待ち時間を有効に使う方法を考えるほうがご機嫌に過ごせます。
❷ 気の合う人を〝優先〟しても良い
「付き合う人によって愚かにも清らかにもなる」
みんなと仲良くできることは良いことですが、常にそうである必要はありません。いろいろな人に気を使っていると、知らず知らずのうちに自分の心がすり減ってしまっていることもあるのです。ブッダは、欲にまみれた人を愚かだと言っており、愚かな人とともに長い道のりを歩むのは、敵とともに暮らしているように辛いことだと述べています。人は付き合う人によって、心穏やかにも嫌な気持ちにもなってしまいます。心根の美しい人との時間は、あなたの心を穏やかにしてくれるとともに、相手の心を癒すこともできるのです。
・ご機嫌になるヒント
「気の合う人と過ごせば自然と清らかな心になれる」
いつもみんなに良い顔をしても疲れてしまうだけ。自分の気持ちに素直になって、そのとき一緒にいたい人を選んで良いのです。
❸ 誰だって〝自分が大好き〟なもの
「自分が自分を大好きなら、相手も同様である」
人々を苦悩から救うことに生涯を捧げたブッダでさえ、どんなに考えても自分より愛おしいものを見つけられなかったと述べています。突き詰めれば、どんな人でも自分がいちばん好きです。自分を守るためであれば、物事をごまかすことだってあるでしょう。たとえば、子どもが叱られたくないばかりに嘘をついたとしたら、どのように対応しますか。多くの人は「嘘はいけないと教える」と答えるでしょう。しかしブッダは、このような行為を悪事だと決めつけて制裁を加えてはいけないと言います。人が自分を最優先するのは当然のことであり、その気持ちを押さえつけてはいけない、ありのままを受け入れなさいと述べているのです。
・ご機嫌になるヒント
「相手が自分に合わせてくれたなら必ず感謝の気持ちを伝えよう」
相手が自分を差し置いて何かをしてくれたなら、必ず感謝を伝えましょう。相手への感謝とねぎらいがふたりの関係を良くしてくれます。
❹ つながりが幸せを増やしてくれる
「良い関係性の友人が多くなるほど幸せも増える」
ご近所付き合いも減って、外で子どもに声をかけることさえ怪しまれるかもとちゅうちょする現代は、人間関係の輪が非常に小さく、また数少なくなっています。しかし、人はひとりでは社会生活を営むことはできません。必ず誰かと関わっています。ブッダはお互いに良い影響を与えることができる善い友人を持つことを勧めています。そんな友人がいて、ともに事をなしたときは楽しいとも述べており、ひとりで悟りを得たブッダも、善い友人は人生を豊かにすると説いています。善い友人との良い関係は、日常でも喜びを与えてくれます。他愛のない会話で心が晴れたり、楽しい会話で心が弾んだり、新たな気づきを得られるなど、友人によってもたらされる幸せは少なくありません。
・ご機嫌になるヒント
「大切なのはお互いのためになる関係性」
繰り返し触れ合うことでやがてつながりとなり、相手にとってうれしいことをし合える“良い人間関係”になっていきます。
❺ 〝良い言葉〟は自分に戻ってくる
「自分も相手も苦しめない言葉を使って話そう」
言葉は、人に勇気を与え成長させる力もあれば、人を深く傷つけ、生きる気力を奪う力も持っています。言葉には物事や感情を相手に伝えるツールとしてだけでなく、もっと強く深い力があるのです。ブッダは、「人は生まれると口に斧が生える」と言いました。悪意のある言葉を口にすれば、その斧で相手を傷つけてしまいます。その一方で、その斧は自分自身にも向かい、自分自身の心をも苦しめてしまうのです。さらにブッダはこう言っています。「自己を苦しめず、他人を傷つけない言葉のみを語れ」と。口の中の斧を振り回さない、穏やかでやさしい言葉を使えば、相手を傷つけないだけでなく、自分自身にも苦しまずにすむのです。
・ご機嫌になるヒント
「自分自身が欲しい言葉を使って相手をほめましょう」
自分が「言われたら、うれしい」と思う言葉を積極的に使いましょう。良い言葉は、いずれあなた自身のもとに返ってきます。
❻ “これさえあれば”というものを作らない
よりどころとは実は不安の源
ブッダは、こだわることのない清らかな行いをすることを理想としています。「こだわり」とは、「よりどころ」と置き換えるとわかりやすいでしょう。どんなことでも話せる友人や、打ち込める仕事、お気に入りの場所、ストレス発散のための趣味など、私たちには穏やかに暮らすための「よりどころ」がたくさんあります。しかし、それらはずっとそばにあるものでしょうか。友人は遠くに行ってしまうかもしれませんし、職場環境は変化していくでしょう。「これがないと困る」というものがあればあるほど、それがなくなったらと考えたときの不安は大きくなってしまいます。自分の清らかさのみを「よりどころ」とし、それに沿って行動するべきだ、とブッダは言っているのです。
・ご機嫌になるヒント
「何にもない、ことの豊かさを感じられる感性を持とう」
何の刺激もない空間こそ豊かさのあふれる場所。何もないことに幸せを感じられる心を養いましょう。
❼ 良くも悪くも〝聞き流す〟
「他人の言葉に一喜一憂してはいけない」
人にほめられても、けなされても、心は揺さぶられるものです。ブッダは、人が言葉を尽くしてほめたり、そしったりしてきても、大きな柱のように泰然として、欲を持たず、自分の心が揺れるのを静かに鎮めている人こそ「聖者」であると述べました。 他人の言葉に一喜一憂していてはいけないと戒めているのです。ブッダのほめ言葉に対する考えは重要です。ほめられることは快感です。人の心は快感が好きですから、快感を得ようとして、 他人の目ばかりを気にするようになります。ほめられ続ければ「自分は偉い」と思い込むようになり、一方でほめてもらえなければ「どうして認めてくれないのか」と焦りが生じます。いずれにしても、心が乱れてしまうのです。
・ご機嫌になるヒント
「そうかしら? で聞き流す習慣を身につけて」
同じことをしても、ほめてくれる人もあれば、けなす人もいます。他人の言葉を聞くことは大切ですが、それに振り回されないようにしましょう。
❽〝怒り返さない〟のが平穏のコツ
怒りに怒りで返すのは「悪」。自分の中の怒りに打ち勝とう
他人が強い口調で何かを言ってきたら、 ついついこちらも熱くなってしまうものです。しかし、これは「悪」だとブッダは言います。怒った人に対して怒り返す人は、 いっそうの「悪」を成していることになり、 もし、それをしないように我慢できれば、 自分と相手、両者のためになることをしているといえるのです。これをブッダは「勝ちがたき戦いに勝つ」と表現しています。怒りの感情は「この人は間違っている」 という思い込みや決めつけから始まります。 相手が悪人だと決めつけた状態で話し合ったとしても、何も生み出せないことをブッダは知っていたのです。共通項がまったくないと思われる人たちとでも、まずは先入観を捨て、ゆっくり落ち着いて話し合うことが大切です。
・ご機嫌になるヒント
「まずは、ごめんでクールダウン」
相手が怒っているときに怒り返すのはNG。意見があるときには、一旦クールダウンしてから、静かに話しましょう。
いかがでしたでしょうか。ブッダによるご機嫌になる方法「人間関係で荒れない編」でした。確かにそうかも? をはじめ、なんとなくそんな気がしていた! とブッダ風にいうところの「悟り」の境地に近づいた人もいるかと思います。
この内容は『TJ MOOK わたしをご機嫌にする ブッダの教え』から抜粋しました。今回は人間関係で荒れない方法をご紹介しましたが、ほかにも「〝ご機嫌〟は自分次第」「〝不条理〟も受け入れる」「ご機嫌になる〝習慣〟」と現代生活を少しでも楽に生きる心の持ち方をブッダから学べます。ブッダがいかに優れていたかも掲載しています。ぜひ読んでみてください!
otona MUSE R
配信: オトナミューズウェブ
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