「最近あまり眠れない」「たくさん寝たはずなのに寝た気がしない」という経験をしたことはありますか。年齢やストレス、入眠環境などさまざまな要因が重なると睡眠の質が低下し、熟眠感が得られなかったり不眠になったりといった症状につながる怖れがあります。睡眠の質に悩んでいる人へ、睡眠の周期を知り、質を高める生活習慣について、看護師の免許を保有する筆者が解説します。
睡眠の周期について
睡眠の周期には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」があります。睡眠中の大半がノンレム睡眠であり、ノンレム睡眠とレム睡眠のセットを1クールとし、約90分周期で規則正しく繰り返されるのが特徴です。
それぞれの特徴は次の通りです。
ノンレム睡眠:
深い眠りで、体も脳も休んでいる状態
レム睡眠:
浅い眠りで体は休んでいるが、脳は働いている状態。一般的に夢を見るのはこのとき。レム睡眠では、まぶたは閉じている一方で眼球は急速に動いている。ときどき目を開けて寝ている人がいるが、その際に眼球が動いている場合がある。その場合はレム睡眠状態と言える
入眠して最初に来るのがノンレム睡眠です。ノンレム睡眠+レム睡眠が1クールで一晩の間に約3~5回程度繰り返すと言われており、覚醒するまではこの周期が何度も繰り返されています。
一般的にレム睡眠は覚醒の準備をしている状態のため、レム睡眠の時期に覚醒すると目覚めやすいという特徴があり、自然と朝方に近づくにつれて睡眠周期がレム睡眠へと近づいていきます。ただ、年齢などによっても個人差があらわれるため、自身の睡眠の質について一度振り返ってみてください。
夢の世界にいるイメージ
睡眠の質を上げるには?
睡眠の質を上げるためには、食事や運動・入浴といった生活習慣を改善することが求められます。
食事で気を付けることは、バランスのよい食事と健康維持に不可欠なトリプトファンという成分を十分に摂取することです。トリプトファンは睡眠に関わるホルモンの元となっていますが、残念ながら体内で作り出すことができないため食事で取る必要があります。含まれる食品としては乳製品などたんぱく質などが挙げられます。
トリプトファンを摂取することは不眠の改善になるだけでなく、精神の安定やストレスの緩和などの効果も得られ、心身の安定にもつながるとされています。
運動について大事なことは、適度な運動習慣を付けておくことです。運動によって睡眠に関わるメラトニンがしっかりと分泌されるため良好な睡眠を得られます。筋肉を動かすことで得られるアデノシンという物質も眠気に関わっているため、寝付きがよくなる傾向にあります。
入浴で大事なことは、入眠する2~3時間前に済ませておくことです。入浴後すぐは体がポカポカして交感神経が活発になり、目が覚めてしまうため入浴する時間は気を付ける必要があります。
※ ※ ※
人間はストレスや外的環境に左右され、不眠となってしまったり熟眠感を得られなくなったりしてしまうことがあります。しかし、体内のリズムを整えたり生活習慣を改善したり、副交感神経を優位にしてゆったりとした時間を過ごしたりすることで、睡眠の質を高めることが可能です。
(じゅんな)
配信: LASISA
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