真っ黒な出汁の煮物に夫が「母の味」
本当は、洗濯物や洗い物を義母には手伝ってほしかったそうですが、年齢的に足腰が痛いらしく、ほとんど小百合さんが家事をこなしています。
「義母は料理が下手で、野菜に醤油をかけて焼く以外できないんです。あるとき、珍しく煮物を作ってくれたんですが、汁が真っ黒! 口に入れてみたら吹き出すほどの濃い味。思わず、嫌がらせなのかも……と気になったら、帰宅してきた夫が一口食べて『あ、うちの味だ』と。味覚の違いにあぜんとしました」
結局、小百合さんの口にはあわないので、彼女が料理を作るはめになっています。
「毎回、毎回、下ごしらえが大変なゴーヤを持ってくるんです。毎日食べても無くならなくて、食べ飽きるどころか見るのも嫌になって。やんわり持ってこないように伝えてみても、毎週持ってくるんです。
先週、言ったことを忘れてしまったのかと不安になるほど、明るく『ほら、見ていたら食べたくなっちゃったでしょ』と、まるで悪気無し。この前はトイレに入っていたら『便秘なのはきゅうりを食べないからよ』と、自分の野菜を食べないからだと言ってきました」
まるで拷問…夫もわかってくれないツラさ
小百合さんは、義母の野菜を止めて欲しいと夫に訴えます。
「夫には『あと2、3年で、体力的に作れなくなるから我慢しろ』と言われました。しかも『せっかく作ったものを捨てるな』と言って、『なんでも煮ればいいんだよ。カレーにすればいいだろ』と、野菜を破棄することを絶対にさせてくれないんです。毎回、毎回、同じ野菜を食べなければならないことが嫌なことを、全然わかってくれませんでした」
小百合さんは、家事や料理を手伝って欲しいのに、義母がするのは野菜を持ってくることくらい。無駄な料理の時間も増え、嫌な野菜を食べなくてはならず「まるで拷問」と嘆きます。
「もう夜泣きなどの時期も過ぎたので、来てもらうのを止めました。これから保活を頑張って、来年は仕事に復職しようと思っています。義母の助けを求めるより、自分でなんとかしたほうがいいと気づきました」
親世代の価値観と、忙しい現代では、やってもらいたい育児や家事は違うと言えます。本来なら、うまく意思疎通をして、譲歩しあえるといいのですが…。
<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/朝倉千夏>
配信: 女子SPA!
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