「心に刺さる」とSNSでも話題!現役高校教師が描いたコミックエッセイ『天才じゃない私たちが輝くために』【著者インタビュー】

日々感じてるモヤモヤとした不安や悩み・疑問にズバッと回答するエピソードが、「いい話」「心に刺さりまくった」とSNSで注目されているのをご存知ですか?

投稿しているのは、現役美術教師であり、画家であり、漫画家でもある夏目にーに(@212natsume)さん。X(旧Twitter)総インプレッション数は1億以上と、多くの共感と反響を読んでいます。
その中から、特に反響のあったエピソードが収録されているのが『天才じゃない私たちが輝くために ~がんばる前に読みたい23の言葉~』。「もっと頑張ろう!」と前向きになれる言葉が詰まった本作に、夏目さんが込めた想いとは? 作品について夏目にーにさんにお話を伺いました。

今を生きる多くの人が共感できる1冊

舞台は私立高校。現役美術教師として勤務する夏目にーに先生のもとには、主に美術部の生徒たちが日常生活の悩みや疑問、将来への不安などを相談しにやってきます。

「美術部を辞めたい」という生徒がいれば、「忙しくて絵を描く時間がない」、「好きなことで食べていけるか不安」、「やりたいことが見つからない」という生徒も…。

著者はこれらに、自身の経験や過去の生徒に共通することを照らし合わせ、厳しくも温かい言葉でズバッと回答!実際に生徒と交わした会話がベースになったエピソードは、絵を描く人だけにとどまらず、今を生きる多くの人が共感できるはず。

SNSで反響のあった23のエピソードに描き下ろしを加えた、読み応えのある1冊となっています。

完璧でないからこそ、相手に強くを求めすぎない

――作中で、夏目さんのお気に入りのエピソードはなんですか?

夏目にーにさん:「今やれ、今」は自分のなかでは会心の出来で、以降のエピソードはこの話をベースに作っています。

――漫画家になりたいという夢を抱きつつも行動できていない生徒の話ですね。サクッと作品をネットに出せというアドバイスと、「言い訳ばっかり探していると何もしないまま夢が終了する」「だから、今やれ、今」という言葉が心に刺さるエピソードでした。


夏目にーにさん:やりたいけど、やれないと誰しも思っているテーマを扱っていて、心をえぐるようなシーンも描けて、いい反響もありつつ、拒否反応もあったのがすごく手応えがありました。よい感想:拒否反応=8:2くらいであるのが、自分のなかでは理想です。

――ある程度の拒否反応があることも大切にされているのですね!とはいえ、多感な時期の生徒さんにかける言葉選びは、特に気を遣うのではないかと思います。声掛けや質問への回答の際に、心がけていることはありますか?

夏目にーにさん:自分が言われて嫌だなーと思うことは言わない。「忘れ物した」などのうっかりミスは、そこまで詰めるような指導はしない、期待しすぎない。私もうっかりミスはありますので、自分も完璧でないのに相手に強く求めないことが信頼関係につながると考えています。また子どものみならず、大人も不完全なものだと思っているので、過度の期待をしないようにするのが互いのためだと思っています。

昭和~平成の私が学生の頃とは、学校の雰囲気も全く違うので「とにかく問題になりそうな言動はしない」は身に染みています。漫画はフィクションなので、面白く話題になるような言葉選びをしていますが、実際はリスクが伴う言葉は極力避けています。凡庸な教師なので。


――多くの生徒さんたちの人生のターニングポイントに立ち会ってきた夏目さん。ご自身の人生のターニングポイントを教えてください。

夏目にーにさん:25歳の大学院生時、大学の実習助手の試験に落ちたことです。何となく教授から大学に残れると匂わせられ、就職活動もせずのんきに面接試験に臨んだら、その夜に不採用の連絡がきました。卒業間際だったのでその時点で無職が確定し、かなりの絶望感を味わいました。その後すぐ、在学中お世話になった人から「絵画教室の先生やんない?」と誘いがあったのですが、直感で「地元に戻って0からやり直そう」と断り、今も地元で何とかやっています。正しい選択だったと、今も心から思っています。

私のターニングポイントには常に絶望があって、そこから絶対見返してやるという気持ちから人生が好転しまくっているので、これからも直感に従って生きていこうと思っています。

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