『虎に翼』(NHK総合)最終回放送後の9月29日、桂場等一郎役で第1回から最終回までレギュラー出演した松山ケンイチが、Xアカウントを更新した。
「出演はしていたけども、思う所があり、観ていませんでした」と書いた松山は以降、第1回から視聴した感想をポストし始めたのである。放送後のロスが解消されつつ、この一連のポストのなかでもっとも興味深かったのが、共演者だった沢村一樹へのユニークな評である。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、松山ケンイチによる「エロ男爵」沢村一樹評を読み解く。
愛の眼差しで一貫していたライアン
『虎に翼』で愛のある行動を実践し続けたのは、“家庭裁判所の父”と呼ばれた多岐川幸四郎(滝藤賢一)だったが、主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)に対する愛の眼差しが一貫していたのは、最終的に東京家庭裁判所所長になった久藤頼安(沢村一樹)である。
愛称はライアン。周囲にはそう呼んでくれと自分から言ってまわっていたが、大名家の出自である彼には“殿様判事”との通称もあった。そんな日本的出自を全然感じさせないライアンは、根っからのアメリカンな紳士。
誰にでも気さくに接し、場合によっては率先して相手をエスコートする。第10週第46回では、職を得るために司法省にやってきた寅子をナイスアシストして、「サディ」というニックネームまで付けている。
ニックネームが付いていないふたり
寅子に限らず、会った人にはニックネームを付けずには気がすまない人でもある。自分はこう呼んでくれ、だからあなたはこう呼ぶねという具合に。それでもふたりだけ、ニックネームが付いていない人たちがいた。
ひとりは、寅子と明律大学で法律を学んだ学友で、戦後に弱い立場の人々を助ける弁護士になった山田よね(土居志央梨)。もうひとりは、寅子が法曹界を志すきっかけになり、最終的には最高裁判所第5代長官になった孤高の判事、桂場等一郎(松山ケンイチ)である。
ふたりとも極端に堅牢な性格で、人付き合いが得意ではない。誰に何を言われようと自分の意見は曲げない。だから、ライアンからのニックネームによって自分固有の名前が薄れてしまうことを頑なに嫌ったのだろう。
配信: 女子SPA!