「首絞められセクハラ後に退職勧奨された」VC大手・ジャフコ元契約社員が訴え

「首絞められセクハラ後に退職勧奨された」VC大手・ジャフコ元契約社員が訴え

●「ちょっとハラスメントチックになっちゃうけど」

指宿弁護士が記者会見で公開した執行役員との会話記録には、次のような発言があったという(女性の代理人による書き起こしより抜粋)。

「(女性の性格について)いい意味での軽さ、あとはしたたかな感じ」

「(女性の)性格とかもいろいろ垣間見えるところを見てても、今後組織の中で今一緒にやっていくっていうのは(女性にとって)相当のストレスになっちゃうんだろうなって」

「この後のことを(女性と)考えたほうがいいなと思っていて、契約上は一応更新の条件を提示します」

「ただ、条件については、相当変わらざるを得ないかなと思っていて、今の契約の条件は、会社として、ちょっと出すつもりはないという」

「ちょっとハラスメントチックになっちゃうから、本当につらい話なんだけど(略)、(女性について)うちの中で異質な人を採用しました」

「無理をして一緒にやっていくっていう選択をしなくても良いんじゃないですかっていう話」

「(女性との)今までのやりとりを考えていたら、今後正直にいうと必要してませんってことっていう前提で言われた時に、結局どうしますか、それでも継続したいですかってそういうことなの」

執行役員は退職金も提示したが、女性は退職ではなく契約更新を希望し、給与を半減するという会社が提示した条件の契約を結んだ。指宿弁護士はこうした会社側の対応について、こう批判した。

「執行役員による退職勧奨の中で、何回も女性について異質だという言葉が出てきますが、具体的に業績が下がったなどの指摘はありませんでした。通常は契約を更新しない、給与を減額するなどの場合は、会社の業務に影響を与えたなどの理由が説明されます。ただ異質だということは、合理的な理由にはならないと考えています」

●業界でセクハラ問題が多発、社会問題に

指宿弁護士らによると、女性は2020年12月、路上で倒れ、急性ストレス性胃炎と診断された。ハラスメントと退職勧奨を理由とする精神的不調から休職をせざるを得なくなり、約1年11カ月間の休職期間を経て雇い止めされたという。

女性側は、社内で起きたセクハラ暴力事件やその後の対応について、会社側の安全配慮義務違反があったとして損害賠償を求めている。また、一方的な給与の減額や退職勧奨、休職後の雇い止めについても、合理的な理由を欠けとして、無効を訴えている。

女性は体調不良で会見に参加していないが、「ハラスメントだけでなく、(同社社員などからの)セカンドハラスメント、(同社からの)サードハラスメントについても心を痛めています」と話していたという。

指宿弁護士らによると、同社は女性側の訴えに対し、安全配慮義務違反などは認められないなどとして、主張は対立しているという。

指宿弁護士らは会見で、ベンチャーキャピタルによるスタートアップ企業の女性経営者らに対するセクハラの多発が社会問題となっていることから、同社の執行役員が常任理事もつとめている業界団体「日本ベンチャーキャピタル協会」に対しても、今年9月、同社に対して謝罪や賠償など被害者に対する措置をとるよう要望したと明らかにした。

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