●銀行に預けていてもお金は増えない! 今こそ投資を真剣に考えるとき
元証券会社勤務で株や金融に詳しい望月さんは、世の中の経済状況をみると、投資を活用してお金を増やすことを前向きに考えた方がいいと、次のように語ります。
「長期の定期預金を組んだとしても、金利が『0.0…%』の世界なのでわずかしか増えません。そのため、大半の方は『値動きがあるもの』、つまり株などに投資しないと、満足できるほどお金は増えないと感じていると思います。それはその通りで、お金を増やすには、株や債券などへの投資が有効です。ただ、分かっていてもその一歩が踏み出せないのは、『お金の運用』がどういうものか知らないからに他なりません」(望月さん、以下同)
さらに言えば、ほとんどの人は「投機」と「投資」の意味をごちゃ混ぜにしており、やみくもに怖いと感じてしまっていると指摘します。
「お金の運用は『投機』と『投資』に分かれます。『投機』とは読んで字のごとく、機会を見てお金を投じること。例えば、株が安くなっているときを狙って買い、高くなったら売り抜けるという方法です。ただ、タイミングを見続けなくてはいけませんし、難易度がとても高い方法です。対して、『投資』は資産の長期的な成長にお金を投じること。長く持っていれば価値が上昇すると考えられる株や債券を保有することで、資産の成長とともにお金の成長を期待するというものです」
●意外とカンタン…「投資信託」で老後貧乏を回避せよ!
そして、この「投資」こそ長期のお金の運用に向いているため、老後資金をつくることに適していると望月さんは言います。
とはいえ、投資は値動きのある株や債券にお金を投じるため、元本割れ(投資金額を下回る)の可能性もあります。銀行預金であれば、金利は増えなくてもそうしたリスクはないため、やはりそこまでのリスクを冒してまで投資をすることに、及び腰になってしまいがちですが…。
「確かに、銀行に100万円預金した場合、銀行の業績によって利息が増減することはありません。必ず決められた利息がつく、『無リスク資産』に分類されます。それに対して投資はというと、値動きのある『リスク資産』に分類され、将来いくらになるかはまったく分かりません。だからこそ短期の値動きに振り回されずに、じっくり保有できる『投資信託』は初心者におすすめです」
投資信託の安心度が高いのは、少額でも分散投資の効果が得られるからです。
「『投資信託』は不特定多数の方から集めた資金を、運用のプロが様々な金融商品に分散することによって、資産を増やすことをめざす商品です。数十から数千に及ぶ株や債券といった様々な金融商品に分散して、リスクを軽減しながら運用してくれます。まとまったお金がなくても、1万円といった少額でも複数の株や債券に分散投資できるのは大変魅力的です。
また、景気は循環するものなので、短期の動きに一喜一憂することなく長期で運用することが重要です。そのため、金融の知識があまりないママ、育児や仕事でそれどころではない忙しいお母さんが、30年から40年の長期にわたるお金の運用を考えるときには、『投資信託』は難易度が低く、投資の一歩に最適です」
銀行に預けているだけではお金は増えないご時世、低金利の預貯金だけでなく、生活費に支障をきたさない範囲で、投資を前向きに考えてみてはいかがでしょうか?
(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)