災害時や停電時にもご飯をおいしく食べたいですよね。普段炊飯器を使っていると、停電時にお米を炊くやり方がわからず戸惑ってしまうという人も多いのでは。炊飯器無しでもできる炊飯方法をいくつか試して、味や使い勝手、水の使用量を比較してみます。
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炊飯器無しでご飯が炊ける方法を試してみよう!
今回比較するのは、こちらの4つの方法です。
① 固形燃料とメスティンを使った「自動炊飯」と呼ばれる方法
② 100均でも購入できる「炊飯袋」を使う方法
③ ポリ袋に入れて湯煎調理
④ 鍋で炊飯
炊けたお米の味や、調理の簡単さ、災害時に貴重な水をどのくらい使うのかをポイントに、4つの方法を試してみます。
水の節約を考えて、通常の精米(無洗米ではない)を洗わないで炊いてみます。
固形燃料とメスティンで自動炊飯
まずはキャンプをする人の間では良く知られた「自動炊飯」という方法を試してみます。
使う物は全てダイソーで揃えました。固形燃料(3個入り110円)とメスティン(1合サイズ、550円)、ミニストーブ(220円)の3つです。メスティン(鍋のように使える調理器具)の説明書にも自動炊飯の方法が紹介されていました。今回はこの説明書に沿った方法で試してみます。
メスティンに米と水を入れて30分浸水させます。その後ミニストーブに固形燃料をセットしてメスティンを置き、固形燃料に着火します。このまま火が消えるまで放置します。途中で吹きこぼれたり、蒸気でフタが少し持ち上ったりしますが、火が自然に消えるまでそのまま放置してOKです。
火が消えたらメスティンをひっくり返し、布などにくるんで蒸らします。
水は米一合に対して210mlを使用しました(米と水が1:1.2の割合です)。
掛かった時間は吸水に30分、加熱に20分、蒸らしに15分の計65分ほどでした。
火加減の調整は一切していませんが、鍋底に焦げつくこともなく、加熱ムラができることもなく、ちょうど良い加減で炊けました。鍋底にはきれいに「おこげ」もできてとてもおいしく食べられました。
固形燃料の火力は着火し始めが一番大きく、だんだんと弱まって最後はかなり小さくなります。これが鍋でご飯を炊くときの火加減と似ているため、うまく炊けるようです。一度火をつけたらあとはほぼ放置できるので、とても簡単にできました。
炊飯袋で炊飯
続いては、セリアで購入した「炊飯袋」(110円・4枚入り)を使う方法です。
不織布製で口の折り返しができる袋で、「だしパック」として販売されているものが少し大きくなった感じで形状はほぼ同じです。
こちらは1袋で0.5合が炊飯できるものなので、今回は条件を合わせるために2袋分を炊飯します。
0.5合の米を炊飯袋に入れ、お湯を沸かした鍋に入れてフタをせず15分加熱します。鍋のお湯を捨ててフタをしたら15分ほど蒸らして完成です。
説明書によると浸水の時間は必要ないようです。フタはアルミホイルで代用しました。
湯を沸かすのに5分、加熱15分、蒸らし15分で計35分ほどかかりました。
水の使用量は600mlで、蒸らし前に捨てたお湯は160ml程度でした。炊飯に使ったお湯はスープやフリーズドライ食品を戻すのに再利用できるそう。再利用すれば無駄はないですね。
捨てたお湯がかなり白く濁ってとろみもある状態だったので、米のうまみが流出してしまったのでは、と思いましたが、食べてみると意外とそんなことはありませんでした。他の炊き方と比べて粘り気が少なく、ややあっさりした味にはなりましたが、おいしく食べることができました。
米がかなり水を吸うので、途中でお湯が少なくなりすぎないように注意してください。今回は500mlのお湯で調理し始め、途中で100ml追加しました。
ポリ袋湯煎調理で炊飯
続いては、湯煎できるポリ袋を使用する方法です。
湯煎調理は防災ニッポンでも何度か紹介していますが、食材を湯煎可能のポリ袋に入れて、湯を沸かした鍋の中に入れて加熱調理する方法です。必ず「湯煎調理可能」と表示のあるポリ袋を使用し、鍋の底に耐熱皿を沈めて、ポリ袋が直接鍋底に接触しないようにしてください。
炊飯以外にも、パスタを茹でたり、煮物を作ったりなど様々な料理を作ることができます。
米と水をポリ袋に入れて、空気を抜くようにクルクルねじりながら袋を縛り、そのまま吸水させます。
お湯を沸騰させた鍋に25分ほど入れて加熱します。お湯から袋を取り出して5分ほど蒸らして完成です。
袋に入れる水の分量は、米一合に対して210mlを使用しました(米と水が1:1.2の割合です)。その他に湯煎するためのお湯として今回は1000ml使用しましたが、お湯の量は鍋のサイズにより変わります。
かかった時間は、浸水30分(お湯を沸かすのに5分程度)、加熱25分、蒸らし5分の計60分ほどです。
お米の状態を袋の上から触ったりして確認でき、焦げ付きや加熱ムラも無いので失敗しにくい方法です。
袋の中が真空状態になり、お米がギュッと押さえつけられたような状態になりました。加えて水が蒸発することがないため、粒が立つというよりは、水分を含んで若干餅のような食感になりました。私は美味しく食べましたが、好き嫌いが分かれる味かもしれません。
鍋で炊飯
鍋を使って炊飯する方法です。普段炊飯器を使い慣れていると、試したことがないという人もいるかもしれません。ガスが止まった際にはカセットコンロで同様に炊飯することができます。
やり方はこちらの記事でより詳しく紹介しています。
「停電でも炊きたてご飯が食べたい!鍋・ポリ袋・空き缶の3通りで炊いてみた」
鍋の中で米を30分浸水させてからフタを閉めて火を点けます。最初は強火で加熱し、沸騰したら弱火で水分がほとんどなくなるまで加熱します。火を止めて蒸らして完成です。
水の分量は、米一合に対して210mlを使用しました(米と水が1:1.2の割合です)。フタはアルミホイルで代用しています。
掛かった時間は、浸水に30分、加熱に15分、蒸らしに15分で計60分ほどです。
鍋底は焦げ付くことなく、表面が色づいた粒が少しある程度。ちょうど良い炊き加減で味もばっちりおいしかったです。炊飯器で炊くよりもおいしく感じました。
火を止めるタイミングはしっかり見極めないと、焦げ付いたり芯が残ったりしてしまうので注意が必要です。この方法は他の方法よりも慣れが必要かもしれません。
配信: 防災ニッポン