口腔ケアの目的は大きく2つあり、口腔内を清潔に保ってお口のトラブルを防ぐこと、そして全身の健康を維持することですが、口腔内や身体の健康以外にも効果があるのでご紹介しましょう。
口腔ケアの方法
「器質的口腔ケア」と「機能的口腔ケア」
まず口腔ケアの方法には、大きく分けて「器質的口腔ケア」と「機能的口腔ケア」の2つがあります。器質的口腔ケアは、歯ブラシや歯間ブラシ、歯磨き粉などを用いて行うもので、毎食後や就寝前の歯みがきなどが該当するため、ごく一般的なお口のケアです。一方機能的口腔ケアの方法には、口腔内や口周りのマッサージ、嚥下機能(飲み込む力)を鍛えるトレーニングやリハビリなどが挙げられます。両者の違いはケアのやり方だけでなく、目的です。
器質的口腔ケアの目的
器質的口腔ケアには、口腔内の清潔とうるおいの保持、衛生環境改善といった目的があり、口腔内細菌による感染の予防につながり、虫歯や歯周病予防に加え、細菌を含む唾液や食べ物を誤嚥することで発症する、誤嚥性肺炎の防止にも有効です。その他、口腔トラブルから発生する脳梗塞や動脈硬化、心筋梗塞など全身疾患の予防にもなるため、口腔ケアは全身の健康にとって欠かせないものだといえます。
機能的口腔ケアの目的
また、機能的口腔ケアの主な目的は、口腔機能の維持や向上です。口腔機能には、咀嚼機能や嚥下機能など、食事に関する働きが挙げられます。さらに、話したり笑ったり、表情をつくったりするためにも必要なケアです。口腔機能の維持・向上は、食事や会話などを楽しむことにつながるため、QOLの向上といった目的もあると考えられます。加齢とともに、口腔内の環境が悪くなったり、口腔機能が低下したりするため、心身共に健康的な生活を送るために、口腔ケアは高齢者にとって非常に重要です。
お口がスムーズに動くようになり、噛んだり話したりとたくさん動かすことで、脳が活性化され認知症予防にも有効だとされています。このように心身ともに健康な状態が維持されることはまた、QOL向上にもつながっていきます。
この記事を監修してくれたお医者さん
日本歯科医師協会認定医
越智英行
略 歴
昭和大学 歯学部 卒業/昭和大学大学院 歯学研究科 臨床系歯科麻酔科学 修了/昭和大学 歯学部 全身管理歯科学歯科麻酔科 助教/医療法人社団コンパス 常務理事
保有資格
歯科医師/歯学博士/日本口腔外科学会 認定医/日本外傷歯学学会 認定医
配信: 医科歯科健診コラム