ようやく涼しくなって、「体を動かしたいな」「久々に運動するかな」と思う人も多いのでは? スポーツには、自分がする、観戦する、推し選手をつくるなど、いろいろな楽しみ方があります。今年はパリオリンピックがあったせいか、人気のあるスポーツや選手にも変化が見られるようです。そこで、ニッセイが行った「スポーツの日」アンケートの結果をもとに、みなさんのスポーツへの意識をレポートします!
学生時代に経験した1位。男性は野球、女性はテニス
ニッセイ(日本生命保険相互会社)は2024年9月、スポーツの日に関するインターネットアンケートを実施して、1万2203名から回答を得ました。その結果をご紹介しましょう。なお、回答した人の割合は、やや女性が多く、年代別では50代が最多です。
まず、「学生時代、スポーツをしていましたか?」と尋ねたところ、「はい」と回答した人は全体の64.7%でした。70代の49.2%に対して20代が76.1%と、年代が若いほど学生時代に「スポーツをしていた」と回答した方が多い、という結果になっています。
逆の傾向が見られたのが、「現在、何かスポーツをしていますか?」という質問。「はい」と回答した人が、20代の23.6%に対して70代が29.1%と、年代が上がるほど多くなっているのです。「現在スポーツをしている理由」という質問では、6割以上が「健康維持」を選んでいるので、健康を意識する年代ほど積極的にスポーツに取り組んでいる、ということなのでしょう。
続いて、学生時代にスポーツをしていた人に、「どんなスポーツをしていましたか?」と聞いてみたところ、男性の1位はやはり「野球・ソフトボール」(25.5%)、女性の1位は「テニス・ソフトテニス」(25.1%)でした。男性の2位は「テニス・ソフトテニス」(15.0%)、女性の2位は「バレーボール」(19.2%)ですので、男女ともにテニス人気は高いようです。
さらに、「もし学生時代に戻れるなら、どんなスポーツをしてみたいですか?」という問いには、男性は「野球・ソフトボール」「サッカー」に次いで3位に「ゴルフ」がランクイン。女性は1位が「ダンス・チアダンス」、2位が「テニス・ソフトテニス」、3位に「バドミントン」が挙がっていました。
そのスポーツを選んだ理由を尋ねると、男性3位の「ゴルフ」と女性1位の「ダンス・チアダンス」には、全体の傾向との違いがありました。理由の全体1位は「興味があった」、2位は「憧れていた」ですが、「ゴルフ」を選んだ方の理由の2位には、全体では6位の「現在そのスポーツをしている」が挙がっています。「ダンス・チアダンス」を選んだ方の3位には、全体では4位の「当時はそのスポーツをできる環境がなかった」がランクイン。この理由を選んだ方の割合も、全体の割合の倍以上です。
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 準主任研究員・小口裕さんは、次のように話しています。
「スポーツは単なる娯楽に留まらず、健康維持、社会的交流、自己実現を促進する手段となっていることがうかがえる結果となりました。2011年スポーツ基本法が施行され、青少年によるスポーツの機会がより身近になりましたが、『学生時代にスポーツをしていた』と回答した割合が若年層で高かった背景には、このような政策の成果が着実に現れつつあるとも言えるでしよう。
また、男性では『もし学生時代に戻れるならやってみたいスポーツ』としてゴルフが上位にランクインしています。ゴルフは年齢を問わず楽しめるスポーツであり、社交やビジネスの交流の場という一面と共に、特に中高年層において健康維持と社会的交流を両立できる手段として再び注目されている可能性があります。
一方で、女性では『ダンス』『チアダンス』がやってみたいスポーツとして1位に選ばれています。これにはさまざまな背景が考えられますが、ダンスやチアダンスは一般的に、自己表現や協調性、リーダーシップが求められるスポーツでもあり、その様な特性が、現代の社会において女性に『憧れ』として受け入れられる1つの要因になっている、とも考えられます」
「パリオリンピックで印象に残った競技」1位は柔道!
では、スポーツ観戦で人気なのはどの競技でしょう。
「どのスポーツを観戦するのが好きですか?」という質問には、約6割が「野球」、約3割が「サッカー」と回答しています。「野球」「サッカー」の次に、60代以下では「バレーボール」、60代・70代以上では「マラソン・駅伝」と回答する方が多い点には注目です。昨年人気だった「バスケットボール」「ラグビー」を抜いてランクアップしています。
さらに注目なのが、「今、一番好きな現役スポーツ選手は誰ですか?」という質問への回答です。もちろん、ダントツで野球の大谷翔平選手が1位なのですが、2位、3位には「石川祐希」「髙橋藍」と、バレーボールの選手が2人も入っているのです! これは今までになかった傾向です。
「例年通り、野球とサッカーが人気スポーツの上位を占めましたが、注目したいのはバレーボールが3位にランクインしている点です。バレーボールは、学校教育の現場でも体育の授業や部活動で広く取り入れられており、もともと親しまれやすいスポーツともいえますが、特に2024年パリ五輪での男子バレーボール日本代表の活躍が注目され、国際大会での露出が増えたことも人気を後押しした可能性があるでしょう。
また、バレーボールの試合はスピーディーで得点が多く、サープやスパイクの瞬間的な動きやチームの連携プレーなど、観戦者にとってエキサイティングな印象を与えている点が、特に若年層にとって魅力的に映っているとも考えられます。
大谷翔平選手の人気は、単にメジャーリーガーとしての国外での活躍だけでなく、努力や謙虚さ、礼儀正しさといった人間性が評価されている点も大きく、現代社会における『アスリート像の一つの理想』として捉えられている、という側面もあるではないでしようか」(小口さん)
確かに、大谷選手が好きな理由として、「活躍している・成績を残している」の次に「努力家な姿」「礼儀正しさ」「メンタルの強さ」などが挙げられています。大谷選手はその人間性も含めて、スポーツにおける理想のヒーローなのでしょう。
スポーツ観戦といえば、みなさん、パリオリンピックは観戦しましたか?
「パリ五輪で最も印象に残ったスポーツは何ですか?」と聞いたところ、全体では「柔道」が最多でした。20代以下では「バレーボール」、 60 代以上では「体操」と回答する方が「柔道」よりも多かったので、年代によっても印象は変わるようですね。
「パリ五輪をきっかけに応援するようになったスポーツは何ですか?」という質問では、1位がなんと「フェンシング」!「フェンシング」は「印象に残ったスポーツ」の5位にもランクインしているので、オリンピックを機に大注目を集めているようです。その他、「スケートボード」や「ブレイクダンス(ブレイキン)」など、前回や今回の五輪で新しく追加された種目を応援するようになった方も多いという結果になりました。
「柔道はもともと日本選手が金メダルを獲得することが期待されていた競技でしたが、特に阿部一二三選手や阿部詩選手などの有名選手が話題を集め、アスリート自身のひたむきな努力や成長のストーリーに焦点が当たることで、さらに注目度が高まった面があるのではないでしようか。
また、60代以上の世代で『体操』の印象が高めです。橋本大輝選手を中心とした日本体操チームが、不調やミスに直面しながらも団体戦において金メダルを獲得した『逆境からの復活』のストーリーが記憶に新しいところですが、こうしたチームワークや絆の強調は、特にシニア層にはポジテイプに受容されやすい傾向にあるとも言えるでしよう。
パリ五輪をきっかけに応援するようになったスポーツとして『フェンシング』がトップとなり、『スケートボード』や『ブレイクダンス(ブレイキン)』といった新種目も注目されています。特にスケートボードでは10代の若手選手の躍動が話題となりました。パリ五輪期間中も多くのSNSで競技や優勝シーンが拡散されていましたが、これらの競技は、もともと若者文化やストリートカルチャーと深く結びついており、デジタルメディアでの情報拡散が話題性に大きく貢献しやすいスポーツと言えるのかもしれません」(小口さん)
この記事を読んで、パリオリンピックの感動を新たにした方も多いのでは? 興味の有無に関わらず、スポーツ選手の活躍は明るい話題なので、目にするだけで気分が上がりますよね。私たちにとっても、適度な運動は心身の健康維持に大きなプラスの効果があります。この秋は、グルメばかりでなく、ぜひスポーツも楽しんでみましょう!
文=高梨奈々
配信: レタスクラブ
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