●入店を拒否することはできるか
SNSやネットでは「保護者同伴でもすき家入店を拒否された」として、不満を訴える声が上がることがあります。
では、すき家の対応に法的な問題があると言えるのでしょうか?
店側には、店舗の管理権があります。この管理権に基づいて、営業に支障が生じるような場合には、入店を拒否することが可能です。この管理権の行使にはかなり広い裁量が認められます。
現場の店員は、「夜22時から午前5時までの間は、未成年者の入店を断る」というマニュアルに沿って業務をおこなっています。そこで、このマニュアルの内容が合理的で、管理権行使の裁量の範囲内といえるかが問題となります。
マニュアルの趣旨は、深夜に未成年に店舗を利用させることで、青少年の健全な育成を害する行為に加担してしまうおそれなどがあり、そういったおそれを未然に防止する点にあると考えられます。
このような入店の拒否を定めたマニュアルは合理的といえるでしょう。
●「保護者が同伴している場合なら良い」のか?
それならば、「保護者が同伴している場合なら良いではないか」とも思えます。たしかに一般論としてはそのように言えそうです。
しかし、未成年者が大人と一緒にいる場合に、その大人が本当に「保護者」なのかを確かめる必要が出てきます。悪い大人に未成年者が連れ回されているおそれもあるわけです。その大人が本当に保護者なのかをチェックするのはとても大変です。
ましてや深夜帯は店員さんも少ないでしょうから、こういったチェックを行うのはかなりの負担になるでしょう。そういうことをいちいち求められれば、店舗ごとの深夜帯の店員を増やすなどの対応をせざるを得なくなり、今のような価格で商品を提供することが困難になるかもしれません。
そういう意味で、このマニュアルは合理的であり、管理権行使の裁量の範囲内といえるでしょう。
以上のように、22時から翌朝5時までの間、仮に保護者が一緒でも未成年者に店舗を利用させない、というすき家のマニュアルは、問題ないといえます。
配信: 弁護士ドットコム