画像:PIXTA
2024年8月8日、宮崎県東部の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、約20分後に「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」、約2時間半後に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。耳慣れない言葉に、戸惑った人も多かったのではないでしょうか。
南海トラフ地震臨時情報はどのようなときに発表されるのか、臨時情報の種類と、私たちがとるべき行動などを、わかりやすくまとめました。
こちらの記事もおすすめ!→南海トラフ地震はどこが危ない?推進地域・特別強化地域とは
南海トラフ地震臨時情報とは?
南海トラフ地震臨時情報(調査中)は、南海トラフ沿いでマグニチュード6.8以上の地震などの異常な現象が観測されて、さらなる大規模地震との関連を調査しはじめたとき、あるいは調査が継続されているとき、調査結果を知らせるときに発表される情報です。
地球の表面はいくつもの厚いプレート(岩盤)でおおわれていて、そのプレートは少しずつ動き続けています。プレートとプレートがぶつかる部分でひずみが発生し、ひずみが大きくなると跳ね返って、地震が起こります。
「南海トラフ」は、静岡県の駿河湾沖から九州の日向灘沖にかけてのひろい沖合を細長く走る海底の谷で、ちょうどフィリピン海プレートとユーラシアプレートがぶつかる部分にあたります。
引用:気象庁「日本付近のプレートの模式図」
歴史をさかのぼってみると、南海トラフを震源とする大規模な地震は約100~150年ごとに発生しています。前回の南海トラフ地震(1944年昭和東南海地震および1946年昭和南海地震)から80年が経過することから、いつまた南海トラフ地震が発生してもおかしくない状況であり、今後30年以内にマグニチュード8~9クラスの地震が発生する確率は、70~80%にのぼるといわれています。
南海トラフ地震は、細長く伸びるプレート境界の東西で、時間差で発生することが多いのが特徴です(東西で同時に、あるいは東西のどちらかだけで発生する可能性もあります)。そのため、南海トラフを震源とする地震が観測されたら、別の地域で、時間差で発生するかもしれない大地震に備えることが重要です。
南海トラフ地震臨時情報の4つのキーワード
南海トラフ地震臨時情報には(調査中)、(巨大地震警戒)、(巨大地震注意)、(調査終了)のいずれかのキーワードがついています。
調査中
南海トラフ地震の監視領域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生したとき、またはユーラシアプレートとフィリピン海プレートがぶつかる境界エリアで、通常とは異なる現象が観測されたときなど、南海トラフ地震との関連が調査される場合に発表されます。
「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」と発表されたあと、最短2時間で調査の結果が発表されます。家にある防災グッズの確認などを行いながら、続報に注意しましょう。
巨大地震警戒
南海トラフ地震の想定震源域内(プレート境界)でモーメントマグニチュード8.0以上の地震が発生*した場合に発表されます。
モーメントマグニチュードとは、岩盤がずれた規模を元に計算するマグニチュードで、一般的な地震計では測定するのが難しい大きな地震を、より正確に測定することができます。
巨大地震警戒が発表されたときは、すでに南海トラフで大規模地震が発生し、別の地域でさらなる大規模地震の発生が警戒される状況です。7日以内にマグニチュード8クラスの地震が発生する頻度は、通常の100倍(十数回に1回程度)に高まっています。被害の拡大を防ぐために、地震発生後の避難では間に合わない可能性がある人は、事前避難を検討してください。
大規模地震が発生せずに1週間が経過した場合は警戒を解除し、さらに1週間「巨大地震注意」となります。
巨大地震注意
南海トラフ地震の想定震源域内とその付近で、モーメントマグニチュード7.0以上、8.0未満*の地震が発生した場合や、プレートの境界で通常とは異なる地震の前兆が確認された場合に発表されます。
これから南海トラフで大規模地震が発生する可能性が、通常の数倍まで高まっている状況です。事前避難は求められませんが、地震が発生したらにすぐ避難できる用意をしておきましょう。
大規模地震が発生せずに1週間が経過した場合は注意を解除し、通常の生活に戻ります。
調査終了
巨大地震警戒、巨大地震注意どちらにも該当しなければ調査終了です。
ただし、警戒や注意が解除された場合、また調査終了となった場合も、いつ南海トラフ地震が発生してもおかしくない状況であるという点に注意しましょう。
*地震の規模は、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の臨時会合における速報的な評価です。
配信: 防災ニッポン