ホームで悔しいドローに終わったW杯アジア最終予選・オーストラリア戦について、日本サッカー協会(JFA)・宮本恒靖会長は、会場となった埼玉スタジアムに“ピリピリしたムード”が足りなかったと語っている。
これまでの同予選で大量得点と無失点による無傷の3連勝と勢いに乗っていたサムライブルーだったが、両者のオウンゴールによる1-1の引き分けで終え、惜しくも4連勝とはならなかった。
試合後、取材に応じた宮本会長は失点場面での集中力の欠如に触れつつも、サウジアラビアとオーストラリアというアジア強豪国との2試合で1勝1分で終えられた点はポジティブに評価。一方で、埼スタを埋め尽くした約5万8700人もの観衆には“物足りなさ”を訴えたのだ。
「今日の試合に限って言うと、スタジアム全体で最終予選であるというピリピリした空気をもう少し(作ってほしい)」と注文。自身も現役時代に2度のW杯に主将として参戦した経験があり、「例えば、自分がサウジに行って感じたのは、相手のファンやサポーターの圧力。そういう空気を皆さんの協力で作れたら」と、相手チームにとってプレッシャーとなるようなホームのムード作りを要請している。
「よりコアなファン層が集まるJリーグのゲームでは各クラブのサポーターによるアツい声援が日常的に展開されていますが、代表の試合では、ライト層も多く、なかなかそういった空気感になりづらいのが現実です。オーストラリア戦でも普段の代表戦と変わらない“平和な応援”が続き、オーストラリアの選手にとってはホームとほぼ変わらないほど、やりやすい環境だったでしょう。アウェイの地で様々な修羅場をかいくぐってきた宮本会長には、これがホームで地の利を生かすことができない遠因の一つと解釈しており、サポーターからは『たぶん、多くの人は“イベント”という感覚なので、そもそものピリピリとした空気の作り方を知らないと思う』『たしかにこの試合はあんまり緊張感がなくてユルかったね』との声や、『過激で知られる浦和サポーターを配置すればいいのでは?』『あんまりこういう呼びかけすると間違った方向にエスカレートする人が出てきそうだから心配』などの反応もありました」(テレビ誌ライター)
海外リーグなどでは、敵選手がボールを持つたびにブーイングやヤジを入れることは普通で、そうした圧力もホームでの強さに貢献する重要な要素だ。
もちろん、過激すぎる暴言やピッチにモノを投げ入れたりする行為は言語道断だが、現状では、相手チームにとって“最も優しいスタジアム”の空気になっていることは否めないだろう。
(木村慎吾)
配信: アサジョ
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