買い占めは控えて!必要な備蓄量を解説


写真:PIXTA

南海トラフ地震臨時情報の発表を受けて、各地で水や非常食、防災用品の売り切れが相次ぎました。臨時情報は、コメの品薄にも拍車をかけたとされています。自治体などは、日頃の防災対策を見直して地震に備えるよう促す一方で、物資を必要以上に購入する買い占めは控えるよう呼びかけをしています。

南海トラフ地震臨時情報は解除されましたが、今後またいつ地震が起きるかわかりません。その際に買い占めを控えたほうがいい理由と、買い占めをしなくてもすむ備蓄方法、適切な備蓄量を紹介します。

買い占めは控えて!連鎖でさらに状況が酷くなる

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新型コロナウイルスの流行時にマスクや解熱剤、トイレットペーパーなどが品切れや品薄になったのは、記憶に新しいでしょう。本当はメーカーに十分在庫があるのに、「マスクとトイレットペーパーは原料が同じなので、トイレットペーパーが不足する」というデマがSNSで拡散されたり、マスクやアルコール消毒薬が転売されて価格が高騰したりといった事態も生じました。

2011年に発生した東日本大震災の直後には、被災地から離れた地域でも水や食料を備蓄しておこうと買い求める人が増え、計画停電などの影響により乾電池なども品薄となりました。

有事の際に買い占めが起こるのは、生活に必要な物資が多いです。次にいつ購入できるか分からないと思えば、たくさん買っておきたくなるのは当然の心理かもしれません。

しかし、品不足の不安から買い占めをし、その連鎖が起こると、需要と供給のバランスが崩れて、品薄の状況が長引き、価格が高騰することにもつながりかねません。

新型コロナウイルス感染症流行時の買い占め行動に関する研究*では、「買い占め行動」を取るほど「消費者トラブルが多い」という結果が示されました。「買い占め」とは、他の人への影響を考えずに、商品を過剰に買うことです。

「買い占め行動」としては、「開店前から店に並んだ」、「複数の店を渡り歩いた」、「心配で、手元にあってもさらに買った」、「フリマサイト・SNS等で売られているものを買った」などがあり、その結果、「商品の機能・品質が思っていたよりも悪かった」、「不良品なのに解約・返品ができなかった」「注文したものが届かず、お金だけ取られた」などの消費者トラブルが増加したと報告されています。

*坂本有芳・松田絢子・稲倉典子(2021)「新型コロナウィルス感染症拡大時の買い占め行動と 消費者トラブル―消費者教育への示唆」

このような消費者トラブルや買い占めの連鎖を防ぐために、落ち着いて、必要なものを必要な分だけ購入することを心がけましょう。南海トラフ地震臨時情報が発表されているかどうかにかかわらず、災害時の備えは普段から行うことが大切です。

一度に大量に買うと必要なときに賞味期限切れになる

賞味期限は未開封で適切に保管した場合においしく食べられる期間の目安です。スナック菓子や缶詰など、比較的傷みにくい食品に記載されています。

商品にもよりますが、防災用として家庭で備蓄することの多いペットボトルの水や缶詰などの食品には、2~3年程度の賞味期限が設定されていることが多いです。一度に大量に購入すると賞味期限も一気に訪れるため、新しいものと入れ替えるときに古い備蓄を使い切るのが大変になります。うっかり入れ替えを忘れてしまうと、必要なときにすべて期限が切れていた、という恐れもあります。

また災害時にはストレスで食欲が低下しやすく、食べ慣れない保存食ばかりだと喉を通りにくいかもしれません。

そこで推奨されているのが、日常的に食べている食品を普段から買い置きして防災備蓄としながら、食べては買い足していく「ローリングストック」という方法です。

おにぎりやサラダの具にもなるツナの水煮、具だくさんのレトルトスープ、ビタミンを補える野菜ジュースや果物ゼリー、ほかにもチョコレートやクッキー、乾物や乾麺など、災害時に役立ちそうな食品はいろいろあります。

使ったら買い足すことを習慣にしておけば、いざというときに慌てて食料を買い込む必要がありません。いつのまにか賞味期限を過ぎていたという心配も少なくなります。


引用:明治「まるごと野菜 じっくり煮込んだポトフ」


引用:カゴメ 「野菜生活100 アソートセット」


引用:コカ・コーラ 「ミニッツ メイド 朝リンゴ ゼリー」

南海トラフ地震臨時情報が発表されたときの対応

南海トラフ地震は、これまで約100~150年間隔で繰り返し発生しています。前回の南海トラフ地震は80年前で、いつまた発生してもおかしくない状況です。

南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフで大規模地震が発生する可能性が通常よりも高まっているときに、日頃の地震対策を再確認し、地震が起こったらすぐに避難できるよう準備をするために発表されます。

南海トラフ地震臨時情報が発表されたら必ず大規模地震が起こるというわけではありません。何事もなければ段階的に解除となりますが、あとでまた発表される可能性もあります。

南海トラフ地震臨時情報が発表されたら、水と食料、懐中電灯や携帯ラジオなどの備えはあるか、タンスや本棚などに転倒防止対策がされているか、家の近くの避難場所はどこか確認するなど、地震への備えを確認し、状況に応じて避難などの行動を取りましょう。

用意する食料には防災備蓄用の保存食だけでなく、ローリングストックしてある食品も含めてください。そのまま食べられるもの、お湯を使うもの、火を使って調理が必要なものと使い方をイメージしながら、何日分になるか計算してみましょう。

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