医療DXのさらなる加速に向けて~オンライン資格確認の進捗状況~

医療DXのさらなる加速に向けて~オンライン資格確認の進捗状況~

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)は、医療の質の向上と効率化を目的とし、医療機関におけるデジタル技術の導入を加速させる取り組みです。

その中でも、オンライン資格確認は、医療機関における事務作業の効率化や患者情報の共有促進を目的とし、医療DXの中核を担う重要なシステムとして注目されています。

本コラムでは、医療DXのさらなる加速という観点から、オンライン資格確認の現状と課題、そして今後の展望について考察します。

 

オンライン資格確認の現状と課題

オンライン資格確認は、マイナンバーカードを活用し、患者の保険資格をリアルタイムで確認するシステムです。

これにより、医療機関は、保険証の提示や資格確認の手間を省き、診療に集中できるようになります。また、患者にとっては、保険証の忘れや盗難のリスクを軽減し、スムーズな受診が可能となります。

オンライン資格確認システムの導入は着実に進んでいますが、まだ全医療機関への普及には至っていません。2023年10月時点で、病院の約80%、診療所の約60%、歯科診療所の約55%、薬局の約90%が導入を完了しています。

オンライン資格確認の導入は、医療機関の規模やシステム環境によって進捗に差が見られます。主な課題としては、以下の点が挙げられます。

①導入コスト

システム導入や従業員の教育など、導入初期に高額な費用がかかることが障壁となっています。

②システムの複雑さ

既存のシステムとの連携や、医療機関ごとの業務フローへの適合など、システム導入には専門的な知識と時間が求められます。

③患者側の理解不足

マイナンバーカードの普及率や、オンライン資格確認のメリットについての理解が十分でない患者も少なくありません。

④セキュリティへの懸念

患者情報の取り扱いには厳重なセキュリティ対策が求められますが、情報漏洩のリスクに対する不安が根強い医療機関もあります。

医療DX加速に向けた取り組み

オンライン資格確認のさらなる普及を図るためには、以下の取り組みが重要です。

①経済的な支援

小規模医療機関への導入支援として、補助金や低金利融資などの経済的な支援策を拡充する。

②システムの簡素化

システムの操作性を向上させ、医療従事者が簡単に扱えるようにする。

③患者への周知徹底

マイナンバーカードの普及促進と並行して、オンライン資格確認のメリットや利用方法について、患者への周知の徹底を図る。

④セキュリティ対策の強化

最新のセキュリティ技術を導入し、患者情報の安全性を確保する。

⑤医療機関間の連携強化

医療情報ネットワークの構築を進め、医療機関間の情報共有を円滑化する。

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