記者クラブから姿を消した記者たち、自治体に危機感 「行政監視の意味も薄れている」 元テレビ記者が全国調査

記者クラブから姿を消した記者たち、自治体に危機感 「行政監視の意味も薄れている」 元テレビ記者が全国調査

●元テレビ記者の経験、行政取材の弱まりを実感

全国調査を実施したShireruの代表取締役、山田みかんさんは元々、テレビ局で記者をしていた。

自治体が広報する資料には地域の課題やその解決策が記載されていることが多く、山田さんは記者時代、そうしたプレスリリースを読むことが好きだったという。

しかし、現場の取材体制に余裕がなくなる一方で、会社としては視聴率を落とさないことが優先され、行政の取材に力を入れなくなっていることが気になっていた。

「多くの人に読まれるわけではないけど必要な情報というものがあり、その際たるものが行政の施策などの情報だと思っていましたが、記者としてそれらをつぶさに見られているのだろうかという疑問がありました」

そんな思いが強まり、2023年8月、自治体などの情報発信をサポートする会社「Shireru」を立ち上げた。

●「なんとかしたい」 自治体情報をデータベース化

今回のアンケート結果について、山田さんは驚く点があったという。

「分かってはいましたが、記者室を利用する記者が5年間で減っていると感じている自治体が数値として4割あると聞くと、けっこう深刻だなと感じます。

また、行政職員の側が記者クラブを広報の場としてだけでなく監視される場として認識していて、マスコミが衰退することに危機感を抱いていることが分かったのは新たな発見で、マスコミにいた人間としてはありがたく感じます。この現状をなんとかしていきたいと改めて思いました」

Shireruは現在、全国の自治体情報を一括してデータベース化し、他の自治体やマスコミ関係者が見られるようにして、社会課題を解決するための助けになるようなシステムを構築しているという。

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