●“身近”のジレンマ「辞める辞めないの判断は本当に難しい」
竹内弁護士も、退職代行サービスを提供していて、どう“身近”であるべきかを悩むことがあるという。
「就職1年目の人から辞めたいと依頼されたら、『職場環境や条件がすべて良い職場なんてそうあるわけじゃないよ。色々頑張った結果もう無理なの?まだ1年目で研修受けただけでしょ?』とお節介だとわかってても、思うことはあります。
依頼者にしても、依頼された側はそんな余計なことを考えず、ポンポンと自分を辞めさせてくれればいいと考えているかもしれません。
退職代行サービスを使うか否かでは悩んでほしくない。その意味では“身近”でありたい。でも、辞めるか辞めないかの判断要素は大抵複雑で、本当に難しいです。
私が辞めない方がいいのではと思っても、言い方を間違えれば、『あ、やっぱり退職代行を利用してはダメなんだ』と誤解されるおそれもあります。
一人ひとりと向き合うサービスである以上、画一的な正解はないと思います。『きちんと将来のこと考えてる?』というお節介心を忘れずに、『何も考えずに退職できる』ことを後押しするようなサービスにはしたくないですね」
【取材協力弁護士】
竹内 瑞穂(たけうち・みずほ)弁護士
大手企業内部の労働問題の解決だけでなく、自身の経験を活かし、弁護士による退職代行のパイオニアである小澤亜季子弁護士とともに退職・辞任に関する様々な問題の解決に尽力している。また、特許事務所での勤務経験から特許、商標などの知的財産権にも精通している。
事務所名:赤坂山王法律事務所
事務所URL:https://mizuho-rlo.themedia.jp/
配信: 弁護士ドットコム