●変わりゆく駅弁業界、変わりゆく法曹界、そして変わらぬもの
駅弁業界は調製元の廃業や買収が続き、小沢弁護士は食べられなくなった駅弁に思いを馳せる。
「昔は全国の駅弁もさまざまな調整元が群雄割拠していたのが、大手に収斂しています。駅弁は基本的に保存食で、味が濃いため、大手が買収したとしても微妙な味わいの再現に困ることはないかと思います。ただ、実際に食べられなくなった駅弁はたくさんあります」
5年前、担当事件のため、山口県の家庭裁判所に通い詰めだった。新幹線で新山口駅に乗り換える際に駅弁をよく買った。
「新山口駅の駅弁は全種類食べて、さらにもう一周食べたことがあります。当時、倒産した山口の小郡駅弁という調整元を広島駅弁が買収したんです。新山口駅の駅弁が広島駅で買うことができる駅弁とほぼ同じになったのでよく覚えています」
調製元は駅弁の販路を駅だけでなく、催事や空港の「空弁」にも広げている。
駅弁のあり方は変わりゆく。そして、法曹界もIT化が進み、弁護士の仕事も変わりつつある。書面主体からデジタルデータの活用に切り替わり、裁判手続きにもオンラインでのやりとりが導入された。
「弁護士の仕事は、BtoBでは、IT化で省力化されていくでしょうね。面談もネットで済ませますし、ペーパーレスになります。BtoCとなると、個人のお客さまは 直接面談したいというニーズが一定数あります。対個人の仕事は、そんなに劇的に変わることはない気がします」
変わっていくものと、変わらないもの。名古屋駅最古の駅弁「天下とり御飯」の特別コラボ。進化を感じる。空になった容器を見つめながら「56歳。いつまでもゴーイングマイウェイですよ。ご馳走様でした」と手を合わせた。
●小沢弁護士が選ぶ「珠玉の駅弁5選」
【()内は調製元・9月時点の販売価格・購入できるエリア】
(1)鰊みがき弁当(函館ミカド・1180円・函館駅ほか)
「ほろほろの鰊の甘露煮、味付け数の子は酒の肴によし、ご飯のお供によし。ワカメの醤油煮はニンニクと唐辛子を隠し味につかった一品」
(2)シウマイ弁当(崎陽軒・950円・横浜駅ほか)
「日本一売れている駅弁。帆立貝柱配合のシウマイ、蒸気で炊き上げたご飯は冷めてもウマい。筍煮とまぐろ漬け焼きはビールのお供」
(3)鱈めし(ホテルハイマート・1400円・直江津駅ほか)
「棒鱈を水で2日間戻し竹籠を使い6時間煮込まれた鱈の甘露煮は骨まで柔らかい。横には焙られたタラコが添えられ鱈の親子駅弁にもなっている」
(4)あなごめし(うえの・2700円※レギュラーサイズ・宮島口駅ほか)
「脂がのった上位20%の穴子を使うあなごめし。本店は行列必至だが、駅弁だとお手軽にあなごめしを味わうことができる」
(5)ながさき鯨カツ弁当(くらさき・1400円・長崎駅ほか)
「ご飯の上に鯨のそぼろを敷き、その上に鯨カツと鯨の竜田揚げがのった鯨尽くしの駅弁」
【取材協力弁護士】
小沢 一郎(おざわ・いちろう)弁護士
同志社大学大学院司法研究科修了。 外資系生命保険会社等を経て弁護士・税理士登録。メガバンクや外資系生命保険会社などで資産承継、事業承継、不動産経営等の講演会や研修を務める。駅弁とB級グルメについて書かれたブログはこちら〈https://allone-law-acc.com/category/blog〉
事務所名:弁護士法人オールワン法律会計事務所
事務所URL:https://allone-law-acc.com/
配信: 弁護士ドットコム