150色の色鉛筆で描かれる鮮やかな絵。ダウン症の娘の夢、パリでのアートフェアへの出展が今秋ついに実現!!【体験談】

150色の色鉛筆で描かれる鮮やかな絵。ダウン症の娘の夢、パリでのアートフェアへの出展が今秋ついに実現!!【体験談】

10月にカルーゼル・デュ・ルーヴル展示会場で開催されるアートフェアの審査に合格!!

――2024年10月には、ルーヴル美術館地下カルーゼル・デュ・ルーヴル展示会場のアートフェアに参加予定だとか。

敦子 パリで展覧会を開く。それは美貴と私の夢で、美貴は14歳のときにエッフェル塔の絵を描いています。
初個展を見に来てくださったフランスのアートに詳しい方が、「フランスは障がい者アートに理解がある」と教えてくださったんです。それからずっと、フランスでいつか個展ができたらいいなと、思い続けていました。

そしてついに、イベント主催者につながっていらっしゃる方と知り合うことができ、「ルーヴル美術館地下カルーゼル・デュ・ルーヴル展示場でアートフェアがある」と夢のような言葉が。すぐに美貴の絵に関する資料を送ったところ、ぜひ展示を!とご連絡いただきました。

――敦子さんも美貴さんもパリに行くのは初めてですか。

敦子 そうです。美貴は、国内線を含めて飛行機に乗ること自体が初めて。美貴には先天性心疾患があるので、長時間のフライトでもあり、ゆとりをもって過ごせるように渡航する予定です。クラウドファンディングでも支援をお願いしました。温かいご協力に感謝しています。

――どんなことを楽しみにしていますか。

敦子 美貴はパリの風景や自然、たくさんの絵画を見ることを楽しみにしていますし、私はパリのアート市場の視察をしたいと考えています。
でも、せっかく美食の国に行くので、美貴は「おいしいものをたくさん食べたい!」って言っています。食べることが大好きです。

娘だけでなく、障がいのある多くの人が笑顔になれるような支援をしていきたい

――敦子さんは2021年にAmour Briller MIKI(アムールブリエミキ)合同会社を設立しました。

敦子 美貴が成人になったころから、美貴がアーティストとして自立できる道筋をつけたいと考えるようになりました。
そして、多様性・アートから愛が育まれる世の中になる一つの活動として、社会貢献も含める事業として設立しました。

――美貴さんが生まれたころと今とでは、ダウン症のある子どもをもつママ・パパの環境に変化が見られますか。

敦子 すごく変わったと思います。SNSの普及で、ダウン症のあるお子さんを育てているママさん・パパさんが、お子さんの様子をたくさんアップされていますね。しかもみんなとても楽しそう。

ダウン症の子どもをもつ親御さんのコミュニティーもいろいろあり、悩みを相談したり共感したりできる場がとても増えたと思います。また、その活動を応援されたり、イベントの開催や協力をされたりする方々も、増えてきたように感じます。

――社会全体への認知も進んでいるでしょうか。

敦子 ダウン症・個性ある子どもさん、成人された方をもつ親御さんや家族さん、そしてご自身が情報を発信することで、多くの人がその存在を知り、受け入れてくれるようになってきたとも感じています。
美貴が中学生のとき、電車の中で中学生の子たちが美貴を見て笑っていたことがありました。でも、その子たちが悪いのではなく、当時はダウン症のことが世間ではあまり知られていなかったから。あのころに比べると、個性は多くの人に認知されるようになってきたと思います。とはいえ、まだまだ不十分だとも感じています。

――どのようなことが不十分だと思われますか。

敦子 ダウン症だけでなく、個性のある子どもを受け入れてくれる幼稚園・保育園は不足していると聞いています。そして園・学校、家庭との連携は本当に大切だと感じます。また、個性のある人が自立するためには、賃金・就労支援・働き方ももっと手厚くする必要があると思います。

――今、ダウン症の子どもを育てている真っ最中のママ・パパに、「これだけはしてほしい」ということを教えてください。

敦子 障がいという個性のあるなしにかかわらず、愛情をもって育て、子どもにいろいろなことを体験させてあげて、いちばん笑顔で取り組めることを応援してあげてほしいです。好きなことは親が働きかけなくても続けられますし、それが子どもの自信につながり、将来の「強み」になると思うんです。今を大切にして子育てを楽しまれてください。

お話・お写真提供/高田敦子さん 取材・文/東裕美、たまひよONLINE編集部

美貴さんのアーティスト活動を支えるために、一念発起して会社を設立した敦子さん。でも敦子さんが見ているのは、美貴さんのことだけではありません。障害のある子どもも大人も笑顔で暮らせるようになるための支援へと、活動を広げていきたいそうです。

「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

※高田敦子さんの「高」の字は、「はしごだか」が正式表記です。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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