仮想通貨サギの被害で孤立した女性の“てん末”「目覚め」を説く人気カウンセラーを信じ行き着いた果て

仮想通貨サギの被害で孤立した女性の“てん末”「目覚め」を説く人気カウンセラーを信じ行き着いた果て

―連載「沼の話を聞いてみた」―

いま買わないと損をするー多かれ少なかれそんな思いに駆られることは、誰しもあるだろう。ところが元会社員の小山田真希(仮名)さんは、そうした感情を極限まで煽られた。


「いますぐにやらないと、光の世界に行くことができなくなる」そう煽ってくるスピリチュアル商法に3年の月日と数百万の資金を費やしたのだ。

スピリチュアルカウンセラーが語るファンタジーな世界観に、突然ハマったわけではない。判断力を著しく低下させる出来事が、まず先にある。

2017年ごろの仮想通貨ブームで、詐欺にあったのだ。典型的なポンジスキーム(※)だった。

(※高配当などを謳って投資させ、実際には運用せず後から集めた金を「配当」と偽って渡し、頃合いを見て計画倒産などで逃げるという投資詐欺)

「はじめは順調に利益が出ているように見えていたので、すっかり信用して友人も誘ってしまいました。ところがあるときから利益配当が止まり、最終的に元金も戻りませんでした。このような投資詐欺があることも、これをきっかけで知りました。わたしの学のなさが招いた結果です」(小山田真希さん 以下同じ)

詐欺で失ったもの

当時、真希さんは仮想通貨にも手を出していた。「これから上場し値上がりする」という謳い文句に誘われて買ったが、残ったのは大きな損失だけだった。


仮想通貨と投資詐欺。真希さんはまずその2件で、貯蓄の一部である500万円を失った。高すぎる勉強代だ。

「友人や職場の人も勧誘してしまったので、人間関係も崩壊しました。職場でいたたまれなくなり、退職。自分が悪いのは重々承知していますが、手のひらをかえすような態度に人間不信になり、メンタルもボロボロです。どん底の日々を送りました」

次なる沼との遭遇

「老後資金は自己責任」と煽られたり、また、生活に余裕がない人がほとんどと言われる今、金融情報は多くの人の関心事だろう。しかしハイリスクが過ぎた。

金と友人と仕事が失われた失意の日々を送っていたが、見かけた書籍で心の穴を埋めるものを見つけた。


それは、スピリチュアルコンテンツだった。

次の沼が、現れた。

真希さんは当時の心境をこう語る。

「この苦しみを招いた責任は、自分にないと思いたかったんですよね。何か超自然的な力が働いたことを、原因にしたかった。運や因縁……いわば、犯人探しに近いかもしれません」

運が悪い、方角が悪い、波動が悪い。超自然的なものに翻弄されたという、物語を求めたのだ。

満たされない不満を「ディープステート(闇の政府)」などの仮想敵にぶつける、陰謀論者の心理にもよく似ているように思える。


そうして真希さんは熱心に関連書籍を読んだり、占いに通ったり、ネットで情報をあさったりと、スピリチュアルの世界へ没入していった。

当時ハマっていたものは、幅広い。龍神、宇宙存在からのメッセージ、波動を上げる方法、引き寄せの法則、宇宙銀行、スターシード、風水、神社参拝にトイレ掃除……手あたり次第、という印象である(それぞれの説明はここではしないので、ご興味ある方は検索してほしい)。

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