プラナとはサンスクリット語で、生気や気息と訳され生命エネルギーを意味します。その存在は、約2,500年前のインドで『古ウパニシャッド』と呼ばれる時代の古典に登場します。ここでは、ヨガやヨーガという発音があるようにプラナとプラーナは同一です。
古典ヨガは、肉体はもちろん心の動きも整える修習法で、その段階は、4~5世紀頃にマハリシ パタンジャリによって編纂された『ヨガスートラ』サーダナパダ実習部門Ⅱ-29に、八支則として記載されています。(参考文献:『ヨーガとサーンキャの思想』中村元著)
現在一般的にヨガと言われるものは、主に八支則の第3段階「アーサナ」を中心に練習が展開されていますが、第1段階には道徳として「禁戒」、第2段階には自己規範として「勧戒」があり、プラナを整える方法「プラナヤマ(調気)」は第4段階にあたります。
八支則については、こちらの記事で紹介しています。
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目に見えないプラナは、どこにあるか?
ヨガの古典におけるプラナは大きく2つに分類されます。それは、大自然のプラナと個体のプラナです。
例えば、そこら中に存在する空気やあらゆる物質を構成する素粒子をイメージしてみて下さい。
プラナはあらゆる物質に内在する生命エネルギーで、私たちは自然界を満たすプラナの中に生き、我々個々の体内で機能するプラナがあるという理論です。
①マハプラナ:マハ(摩訶)とは偉大なという意味です。マハプラナは自然界や宇宙に偏在しつつ個々の物質を構成する生命エネルギーです。微小でありながら大きな一なるものとして大自然を働かせるものを言います。
②ムキャプラナとウパプラナ:体内で機能するプラナです。心身維持のためにそれぞれ5つの働きを持っています。
プラナは、全身を巡る7万2千本のナディ(神経経路)を通ると言われます。プラナは流れや詰まりによって様々な不調を引き起こすため、心身健康かつエネルギッシュに生きるためにプラナをスムーズに巡らせる練習法が古典ヨガとして代々継承されています。
東洋医学や漢方でも、気が滅入る、元気になるなど、自然に即した「気」という概念を用いて対処していますね。
体内で機能する2種類の「プラナ」
プラナの流れと呼吸が連動していることを洞察したヨガの先人が、アーサナ(ポーズ)や呼吸法により心身の安定と調和を図るために行なっていたのがヨガの練習です。古典ヨガとエクササイズの違いは、身体だけでなく心や生命エネルギーを制御する点にあります。
配信: JIJICO