NHK『団地のふたり』59歳女優の“相棒”とのやりとりの魅力。大ヒット民放ドラマでも見せていた

NHK『団地のふたり』59歳女優の“相棒”とのやりとりの魅力。大ヒット民放ドラマでも見せていた

 小泉今日子とは、相手俳優とのベストなコンビネーションで際立つ存在感の人だなと常々思う。

 毎週日曜日よる10時から放送されている『団地のふたり』(NHK BS)では、小林聡美を相手にそれはそれは面白おかしい相棒ドラマを繰り広げている。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作と中井貴一との共演作『最後から二番目の恋』(フジテレビ、2012年)との共通項を探りながら、“相棒俳優”小泉今日子を解説する。

とびきりの“相棒俳優”

 このコンビ愛、ちょっとやそっとじゃあゆるぎそうもないなぁ。『団地のふたり』で小林聡美と共演する小泉今日子は、阿吽の呼吸の相手を得て、そこらの刑事ドラマのバディなんてそんなのぬるいぬるい、という感じ。

 小泉今日子は、とびきりの“相棒俳優”なのだ。相手俳優があって自分がある。自分がいるから相手がある。そういう抜き差しならない関係性を瞬時に組んでしまえる才能の持ち主。

 例えば第1回、団地育ち団地暮らしの大学講師・太田野枝(小泉今日子)とイラストレーターの桜井奈津子(小林聡美)が、いつものように奈津子(なっちゃん)の家で食後にケーキを食べる場面。

 ノエチ(野枝)が「なっちゃ~ん、なっちゃ~ん」と両腕を伸ばしてじゃれてまとまりつく。小林に直にふれることで相手を自分の身体の延長、あるいは自分の一部にしているかのように見える。それが相棒への最たる愛の示し方なのだといわんばかり。

小林聡美だけでなく杉本哲太とも

 あるいは奈津子が「おばちゃん」と親しげに呼ぶ佐久間絢子(由紀さおり)の自宅の網戸を修繕した帰り道。横に並んで仲良くぷらぷら歩くふたりが、もう半世紀の付き合いだねといまさら確認し合って、「なっちゃんは105歳」、「ノエちゃんも105歳」とふざける場面がある。

 105歳になった自分たちにつかの間なりきる姿が、この先、さらに半世紀続くかもしれない相棒関係を端的に再現してくれている。しみったれず、どこまでも清々しくからっとしている。でも情感はあるツーショットの名場面だ。

 そしてどうやら相棒は小林だけではないらしい。野枝がしきりに「アニキ」と呼ぶ兄・太田厚志役の杉本哲太とも固有の相棒関係にある。第2回で団地の敷地で密かに住民たちが猫にエサやりをしていたことが問題になり、駅近くで塗装会社を営む厚志が猫を引き取ることになる。

 猫を迎えにきた厚志を野枝と奈津子が見送る場面。カメラは、厚志が運転席に乗る車体を正面から写し、助手席側の外から野枝が「ちゃんと可愛がってよ」とうるさく言う。

 運転席に厚志役の杉本がいて、空席の助手席を挟んでそのすぐ外から窓枠に腕をかける小泉が、この車内空間に相棒同士の空気感をいきわたらせている。運転席側のすぐ近くにいる小林は、ここは一度相棒関係を譲るよという感じで微笑んでいるように見える。

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