闇バイト、自首で刑は軽くなるのか? 「あなたや家族を保護する」 警察庁幹部の異例メッセージが話題

闇バイト、自首で刑は軽くなるのか? 「あなたや家族を保護する」 警察庁幹部の異例メッセージが話題

●強盗予備罪の可能性 無罪放免にならずも自首は刑軽減も

ーー「警察庁が保護する」=「罪に問われない」と受け取ってもいい?

強盗は計画段階で何らかの関与をしただけでも強盗予備罪が成立し、2年以下の懲役です(刑法237条)。

例えば、地図を準備したり、車両を手配したり、凶器を購入したりするだけでも強盗の予備行為に該当するため、強盗予備罪が成立します。

したがって、強盗の計画に関与した者には強盗予備罪が成立する可能性が高いことから、保護を求めても無罪放免ということにはならないと思います。

ただし、強盗予備罪は強盗罪(5年以上の有期懲役)に比べれば刑も軽く、警察が強盗計画を認知するまえに自ら名乗り出れば自首が成立し、刑が減軽される可能性があります(刑法42条1項)。

自ら保護を求めて出頭し、捜査にも協力し、他の共犯者も検挙できれば、強盗予備罪自体は成立しているものの有利な情状として認められ、起訴猶予となる可能性もあります。

強盗罪はネット上の犯罪などと違い、必ず現場で暴行・脅迫と財物奪取という実行行為を行わなければならない攻撃犯です。そのため警察の捜査能力を前提とすれば、実行犯は必ず逮捕されると思ったほうがよいでしょう。

闇バイトに応じてそのまま強盗を犯したら強盗罪で5年以上の懲役です。また被害者に怪我をさせてしまえば強盗傷害罪として無期または6年以上の懲役となり、さらに被害者を死亡させた場合は死刑または無期懲役のどちらかしかありません(刑法241条)。

強盗予備罪のみであれば、罪も重くないので十分にやり直しができますが、強盗罪から先に進んでしまうと長期間刑務所に行くこととなり取返しのつかないこととなります。

以上より、闇バイトに関わってしまった人にとって、警察へ保護を求めて相談することが最善の選択肢であることは間違いありません。

【取材協力弁護士】
澤井 康生(さわい・やすお)弁護士
警察官僚出身で警視庁刑事としての経験も有する。ファイナンスMBAを取得し、企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)も歴任、公認不正検査士試験や金融コンプライアンスオフィサー1級試験にも合格、企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他各新聞での有識者コメント、テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。陸上自衛隊予備自衛官(2等陸佐、中佐相当官)の資格も有する。現在、早稲田大学法学研究科博士後期課程在学中(刑事法専攻)。朝日新聞社ウェブサイトtelling「HELP ME 弁護士センセイ」連載。楽天証券ウェブサイト「トウシル」連載。毎月ラジオNIKKEIにもゲスト出演中。新宿区西早稲田の秋法律事務所のパートナー弁護士。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。
事務所名:秋法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/tokyo/a_13104/l_127519/

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