イベリコ豚インタープロフェッショナル協会(ASICI、本部:スペイン・サフラ)は10月22日、都内で「イベリコ・センスを呼び覚ませ、日本」キャンペーンのオープニングセレモニーを開いた。同キャンペーンは、EUとの共同出資で日本市場でのスペイン産イベリコハムの普及と促進を図るもの。当日は同協会のラウール・ガルシア会長、ヘスス・ペレス副所長らが登壇し、スペイン産イベリコハムの魅力やキャンペーンの概要などを説明した。また、キャンペーンのアンバサダーにシェフの吉田能氏(東京・白金台「CIRPAS」)、アーティストの野原邦彦氏、フードアーティストの諏訪綾子氏――の3人を任命し、任命式が行われた。
冒頭、ガルシア会長は「イベリコハムはスペイン唯一のハムである。当協会では、世界でイベリコハムの認知度を高めることを目的としている。イベリコ豚肉・ハムの輸出において、日本は非常に重要な市場であり、EU域外では米国、中国、メキシコに次ぐ4番目の輸出先国となる。この数年で日本への輸出量は成長している。日本でのイベリコハムのさらなる認知度向上に向けて努力し、このキャンペーンが成功に終わることを願っている」とあいさつした。
在日スペイン大使館経済商務部のアルトゥール・ランス商務官による来賓のあいさつに続き、ペレス副所長が「イベリコハムは食としてだけではなく、スペインの文化や循環経済、持続可能な自然資源として重要な役割を担っている。イベリコハムを通して、スペインの文化や歴史、イベリコ豚が育った土地などの重要性をぜひ分かってもらいたい。今回のキャンペーンでは、イベリコハムを単なる“食”ではなく、その他のさまざまな観点から知ってもらうことを目的としている。『イベリコ・センスを呼び覚ませ』のタイトルの通り、言葉では表しきれない感覚を実体験してもらうべく、3人のアンバサダーには、イベリコハムの背景やストーリー性を伝えてもらいたい」とキャンペーンの目的などを説明した。
任命式では、ガルシア会長からアンバサダーの3人に任命状が手渡された。普段からレストランでイベリコハムを扱う吉田シェフは、「イベリコハムは、素材本来の良さを楽しむ日本の食文化に合っていると感じている。今回のキャンペーンは、イベリコハムの製法などを学ぶ良い機会であり、学んだことをレストランやSNSなどで発信していきたい」と意気込みを語った。今後、同キャンペーンでは、アンバサダーを通じたイベリコハムの魅力の発信に取り組んでいく。
〈日本生ハム協会との戦略的提携で調印〉
さいごに、日本生ハム協会(JCHA)の渡邉直人代表理事とガルシア会長による、「日本市場におけるイベリコハムの普及・拡大に向けた戦略的提携」に関する調印式が行われた。渡邉代表理事は「日本ではラックスハムを『生ハム』とし、市場の約8割を占めている。その一方で、ハモン・セラーノやハモン・イベリコなどは日本の食品表示法で規定がない。そのため、当協会は、地中海の食文化である本場の生ハムを広げるべく設立した。日本市場では、この製法の異なる『生ハム』が混在して販売されている。また、原料となるイベリコ豚は、豚のなかでも非常に付加価値の高いものである。今回、ASICIとの提携により、こうした付加価値や希少性の高さなど、イベリコハムの正しいプロモーション活動をより一層推進できるようになる」と期待感を示した。
〈畜産日報2024年10月24日付〉
配信: 食品産業新聞社ニュースWEB