女性ホルモンの変動と共に、日々うつろっていく私たちのからだ。オトナの女性世代はそのバランスが崩れ始め、さまざまな不調を抱えがち。そこで、みんなで上手に付き合っていくために、女性ホルモン部の活動を始めましょ♡
美容家・山本未奈子さんに聞く
女性ホルモンとの上手な付き合い方
山本未奈子/1975年生まれ。美容家。シンプルで明快な美容理論をベースに、ウェルネスブランド「SIMPLISSE」やフェムテックブランド「Bé-A」などを設立。精力的な活動が続く中、42歳で更年期うつを発症し、そして克服。豊かに生きるためのウェルネスを、より真摯に追求中。
女性ホルモンのアンバランスが引き金となり、絶不調にまで陥ったという山本未奈子さん。経験者ならではの切実でリアルな声をまず聞いて。
40歳を過ぎたころに、ふと生理不順が気になって。病院を受診したら、まさかの更年期症状だったんです。その後だんだんと、不眠やめまい、耳鳴り、頭痛、肩こりなどの症状が出始めたものの、女性ホルモン由来の原因だとは思わなかったんですよね。「仕事のし過ぎかな」「子どもに手がかかるからよね」と思い込んでしまって、「もっとちゃんと頑張らないと!」と自分を奮い立たせたりもしました。4年後、どうなったかというと更年期うつを発症。2カ月間ずっと寝たきりで、大好きな会社は半年間休職しました。
そこまでひどくなる前になぜ気づけなかったんだろう、と今になって悔やまれますが、そもそも40歳前後のオトナの女性世代は、何かと頑張れちゃうんですよ。でもね、35歳を超えたからだの中では女性ホルモンの分泌量が乱高下していて、その影響が小さな不調として多発している状況。とてもじゃないけど今までと同じ生活をしていたら太刀打ちできないんです。だから皆さんには、今日から当たり前に自分を最優先してほしいし、今すぐ手厚いケアをし始めてほしい! 十分な睡眠を取る。腸活をする。ささやかなアプローチでも積み上げた効果は大きくて、今の私は絶好調。しかも今だけではなくて、5年後、10年後の未来も明るいはずです。健やかな美しさを一緒に更新しましょう!
そもそも…… 女性ホルモンってどんなものなの?
私たちのからだの中で、女性ホルモンの分泌量は静かに変化し始めているらしい。一体何なの? そして何が起きてるの?
一生で分泌されるのはたったティースプーン1杯分!?
都市伝説のように“ティースプーン1杯分しか一生のうちに分泌されないらしい!”と囁かれる女性ホルモンの量。事実、そのくらいごくごく少量で、私たちの心身に影響を与え続けています。残念ながら分泌量は自力で増やすことはできないけれど、ケア次第で減らさずキープすることが可能。
エストロゲンとプロゲステロン。女性ホルモンはこの2種類のこと
100種類以上のホルモンが分泌される中で、女性ホルモンと呼ばれるのは、卵巣から作り出される名コンビ、エストロゲンとプロゲステロン。エストロゲンは、月経終了後から排卵日にかけて比較的多く分泌され、美と健康の守り神的存在。プロゲステロンは、排卵日から月経開始前までに多く分泌され、妊娠を維持できるように働いています。この分泌量が減り始め、サイクルも乱れやすいのがオトナの女性世代!
35歳ごろを機に乱れながら降下していきます
女性ホルモンの分泌量は、月経と連動した毎月の波の他に、一生の波があります。思春期から性成熟期にかけて上昇して、35歳のプレ更年期から降下し始め、閉経に向けて微量に。全ての人に必ず訪れるこのビッグウェーブは、翻弄されることなく上手なケアで乗りこなしていく。これが我ら“女性ホル部”の理想です。
今日からできる女性ホルモン活動エトセトラ
女性ホルモンが受け取れるボーナスステージが終わりつつある今、さまざまな不調が現れるのは自然の流れ。日々のコンディションを整えるためのご自愛ケアを、山本未奈子さんと一緒に考えてみました!
女性ホルモンに着目した【化粧品】も頼れる味方
女性ホルモンの減少に伴ったさまざまな不調は、もちろん肌にも現れ、バリア機能が弱まってますます乾燥する傾向に。この悩める状況を速やかにレスキューするべく、研究&開発に取り組む気鋭のブランドが登場。大人肌特有のゆらぎに寄り添う質の高いケアが可能に! 朝晩のお手入れでは、肌に丁寧に触れるだけではなく、同時に「呼吸に意識を向けることも大切。浅くなりがちなので、意識しながらゆっくり深く。リラックスしてケアを行えば、心身までほぐれます」となるほどのアドバイス。
女性ホルモンと肌変化の関係を紐解いて誕生。 左から:年齢とともに変化する肌をキュッ。スープラ トリートメント エッセンス ローション N 200mL ¥11,550、肌を引き締めるウエスト用クリーム。同 アブドウエスト ボディバーム 200mL ¥14,850(共にクラランス)
女性のサイクルと月のリズムに着目した人気シリーズ。 左から:水分と油分がジャストバランスな2層タイプ。エミング ボディセラム 97mL ¥8,800、肌に溶け込むオイル美容液。同 フェイシャル オイルエッセンス R 30mL ¥14,850(共にTHREE)、濃密なオールインワン美容乳液。ミューズ世代が急激に実感する極度の乾燥に立ち向かう! GRACE ウーマンズパワーセラム 70g ¥8,800(MiMC)
【睡眠】の質を上げて腸活で免疫力を高める
「若かったこともありますが、誘われたらすぐに遊びに行くタイプで、睡眠はずっとおざなりでした」と山本さん。現在、帰宅後はすぐに入浴して副交感神経を優位にし、眠りスイッチを早めに押すことがマイルールにも。
女性ホルモンのアンバランスに対応するため、山本さんがまず変えたことは睡眠。『快眠が得られるように寝室の環境を整え、毎日7時間を確保したくて、逆算してスケジュールを組み立てるようになりました。23時に寝るために、会食があれば18時スタートに設定します』と最優先事項として常に君臨。言うまでもなく睡眠の働きは、昼間の緊張から解放し、脳やからだを休め、免疫力も強化、など驚くほど多方面。十分に取るほど更年期対策としても効果的、とのデータもあり、とにかく私たちも寝なくちゃ!
免疫システムの要でもあり!【腸活】は超〜重要
「腸活に真剣に取り組むようになってから、本当に調子がいいんです。肌も、からだも、心の状態も」と絶賛する腸活。そのメリットは便通改善のみにあらず。腸は免疫システムの重要拠点といわれるだけあって、「腸内に宿る善玉菌が生き生きと心地よく生息すると、栄養の吸収もホルモン分泌もスムースに行われます。結果として免疫力が高まって、その恩恵は全身を巡ることに!」と絶大なパワーを発揮。ミューズ世代は、基本ケアとして本気の取り組みを始めるのが正解。毎日規則正しいリズムを刻もうではないか!
チャコール(炭)ならではの吸着力で、体内の汚れを一掃。チャコールクレンズゼリー 10g×7包 ¥864(エステプロ・ラボ)
注目のCBDとオーガニックヘンプシードオイルを、タピオカ由来のカプセルにIN。ヘンプオイルカプセル150 リトリート 250mg×15粒 ¥2,310(ヘンプフーズジャパン)
菌を育てる次世代型。植物性乳酸菌をダブル配合。チョーカツ アクティブ プロ 30袋×30日分 ¥7,560(シンプリス)
冷え、絶対にダメ!1年中コツコツ【温活】
「デスクワークのときは太ももに電気カイロ、が定番。筋肉が大きく、太い血管が走っているため、全身の温めに効果的。たまに大好きなビールを飲みたくなることだってあるけれど、冷たいものは極力セーブ」
いつどんなときも、せっせと温活に励んでいる山本さん。「からだが冷えると、体温が下がって内臓の働きが鈍り、免疫力も代謝力も下がるんですよね。血管が収縮して、血流が滞りやすいのも気になるところです」と指摘。というのも、酸素や栄養、そして女性ホルモンは、血流にのって全身に運ばれるらしい! まさに冷えは、百害あって一利なしの存在。温活のオススメは「バスタブに浸かっての入浴。副交感神経のスイッチが入ってリラックスできるし、芯から温め体質になれる絶好のチャンスです」
救世主的存在になる!?【エクオール】のサプリ
大豆イソフラボンが腸内細菌で変換されて生まれる成分、エクオール。女性を支えるパワーの源として、美肌や美髪、健康な心身をサポートする働きがあることから、熱視線を独り占め! 「ただし、この腸内細菌をもっているのは、現代の日本人でふたりにひとり。若い世代では20%とも聞きます。だったら、サプリメントで確実にエクオールを取るのも手ですよね」と冴えた判断。腸内でどのくらいのエクオールが作れているか、が気になる人は、自宅で簡単にできる検査キット等もあるのでチェック。
左から:腸活も女性ホルモン対策も叶うハイブリッド処方。発酵マメ子 エクオールプラス 60粒 ¥5,980 (フローラプラス)、マカやチェストベリーに、大豆由来のエクオールを含む乳酸菌を配合。フェムリズム 60粒 ¥5,940(アムリターラ)、大豆を乳酸菌で発酵させたエクオールを含有。安全性と有効性の研究を重ねて実現! エクエル 112粒 ¥4,320(大塚製薬)
【漢方】の生薬パワーは偉大なり
植物の茎や葉など、自然由来の生薬からなる漢方。複数を組み合わせて作り出すことから、幅広い症状に対応し、体質に合えばかなりの効果が期待できるとか。「私は『加味逍遙散』がゆっくりじわっときいて、総合的なバランスが整うような手応えがありました」と実力に惚れ惚れ。服用しやすいタブレットタイプも充実し始め、選択肢も増えてきている今、上手に取り入れてみたい!
右から:東洋「五臓」の考え方と先端美容科学が融合。チューンボーテ タイプブラック 42粒(約14日分)¥3,456(資生堂ビューティーウエルネス)、更年期症状対策として代表的な漢方。「クラシエ」漢方加味逍遙散料エキス錠 [第2類医薬品] 96錠 ¥2,640(クラシエ薬品)
【膣のケア】にも着手!
女性ホルモンの乱れが引き金になった乾燥症状は、肌だけではなく「膣などの粘膜系も、です。粘膜が分泌する粘液には自浄作用があって、免疫力になるともいわれているのですが、どんどん乾いてしまうのが現状」。放置すれば、雑菌に侵されやすくなり、ニオイも気になるように。ちなみに、目や口の中も似たような状況にあるため注意を払って。
右上から時計回りに:好きなタイミングで1日1粒。膣で働く2種類の乳酸菌を配合。ボディプレックス フェミニンケア 10粒 ¥1,814(KIYORA)、潤ってニオわない、飲むネンマクケア。医療レベルの生産ラインで製造。ザ バランス ネンマク ケア プラス+ 30袋×30日分 ¥10,530(シンプリス)、日本で初めて「膣内の調子を整える」機能性表示食品。ココラクト 30粒 ¥4,980(雄飛堂)
【お酒、カフェイン】は控えてみてもいいかも!
コーヒー以外にも、緑茶や紅茶、ココアなどにも含まれ、知らず知らず摂り過ぎていることもあるカフェイン。覚醒作用があるため、交感神経が優位になり興奮&緊張モードに傾きやすく、ホルモンの分泌を調整する自律神経のバランスが乱れがちに。また、不安感が増したり不眠を招くことも。山本未奈子さんは「カフェインはまったく摂らなくなりました。眠りが浅くなるのでお酒も控えていて、付き合いで飲むときは1~2杯。更年期うつに苦しんだあの半年にはもう戻りたくない。今は健康が第一です」ときっぱり。
20代の私と同じ生活なんてムリ、ムリ〜! ノンカフェインのハーブティを取り入れるのもオススメ。女性の毎日が輝くようなハーブを厳選セレクト。ゾネントア ヒルデガルトシリーズ 女性のためのお茶 1.5g×18袋 ¥1,077(おもちゃ箱)
【添加物】の摂り過ぎにご用心。血糖値の安定も心がけて
酸化防止剤や保存料など、食品の安全性を保っていたりする食品添加物。食を豊かにする美点がある半面、気になるのは過剰な摂取による危険性。「パッケージ裏面の原材料表示を確認して、できる限り摂らない選択をしています。あと、同じくらい意識しているのは血糖値の安定。パンや麺類、甘い飲み物などで糖分を摂り過ぎると、血糖値が急激に上がって、からだがダメージを受けてしまう。パンとサラダを食べるなら、パンよりもサラダが先!」とポイントが随所に。知識を身につけて賢く生きる術も学びたい!
パンとサラダ。先に食べるのはどっち?
【食べ物】のセレクトで私が変わるという事実
安定感のあるコンディションを手にした山本未奈子さんが痛感するのは、口にするものの重要性。「土壌の汚染が問題視され、野菜の栄養素も少なくなっているといわれる今、何を食べるかで今後の見通しが変わってくるはず。といって、あれもこれもとストイックに頑張るのは大変ですよね」。だから、一般的な食品よりも栄養価が突出して高いスーパーフードや、話題のサブスクサービスを頼れる味方に。「食べ物を変えると、体調だけでなくメンタルも本当に安定しますよ!」
左から:200種以上の栄養素を誇るシーベリーのプレミアムなジュース。だいじょうぶなもの ワイルド シーベリージュース 500mL ¥4,104(たかくら新産業)、食べる美容液といわれる、ザクロの濃縮エキス。ニニ ザクロエキス 650g ¥5,940、最高品質のザクロを丸ごと絞って栄養たっぷり。ニニ ザクロペースト 200g ¥3,024(共にnini)
大人の女性に向けた、注目のサブスクリプションサービス。ひとりひとりに合う養生スープ&養生茶のセットが毎月届き、セルフケアなどの情報も得られる! ライトコース ¥4,860〈※初回のみお試し価格¥3,338〉+送料(ファントゥーミー)
年に2回の【ファスティング】で体内機能を活性化♡
食べること、と同時に極めたいのは、食べないこと。つまり、究極のデトックスといわれるファスティングも効果的です。「胃腸を休ませながらの大掃除で、代謝や排泄のサイクルがうまく回り出します。体内機能が活性化するため、巡り巡って、女性ホルモンの分泌にも働くかも!」。思考がすっきりクリアになるのも魅力。
「ファスティング専用のドリンクがあれば、必要量をチビチビと飲むだけでOK。栄養を摂りながら血糖値を安定させて過ごせます。プロデュースしているシンプリスでは、年に2回、ファスティングビューティキャンプを実施。参加者全員がLINEグループで繋がって励まし合いながら進行するため、初めての人にはいいかも!」
100%天然原料を、酵母や酵素の働きで熟成した発酵ドリンク。フィトクレンズ ピュア 500mL ¥8,640(シンプリス)
心のゆらぎもケアする【香り】効果は想像以上!
オトナの女性世代の心のゆらぎは、不安定な女性ホルモンの分泌と密接。憂鬱やイライラを抱えやすく、そんなブルーな気持ちのリセットにはアロマのチカラ! 「植物は、古くからいろいろな薬効が知られています。花や茎、樹皮などから抽出された精油には、ホルモンにアプローチするものもあり、コンディションアップも期待できそう」。山本さんは、お風呂や加湿器に数滴入れて楽しんだりも。香りに包まれた毎日、積極的に楽しんで。
右から:華やかな花々の香りが全身をふわり。リッチな使用感。ウーマンズバランス ボディクリーム 200mL ¥7,590、肌がつやり。同 マッサージオイル 100mL ¥3,850 (共にニールズヤード レメディーズ)、女性と密接なハーブが7種類も。センシュアル ロールオン 10mL ¥2,640(ナリン/コスメキッチン)
右から:甘いフローラルの香りにホッ。空間にひと吹き。プリマヴェーラ バランス ルームスプレー bio 50mL ¥3,960、奥深い香り立ちの精油。同 バランス〈ブレンド エッセンシャルオイル〉 5mL ¥2,750(共におもちゃ箱)
Illust:AKIKO HIRAMATSU text:AKIKO NISHIMURA
otona MUSE 2024年5月号より
配信: オトナミューズウェブ
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