無意識?それとも忘れただけ?母を理解したいけれど、認知症は謎すぎる! #母の認知症介護日記 125

無意識?それとも忘れただけ?母を理解したいけれど、認知症は謎すぎる! #母の認知症介護日記 125

アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。

母・あーちゃんは、これまで通っていた糖尿病のかかりつけに加えて、認知症の専門病院に通うことになりました。処方される薬の種類が増え、今まで朝晩と就寝前だった服薬の時間も、昼が追加されてより複雑に。そのまま薬を渡しても、今のあーちゃんの状態では自己管理が難しいと判断したワフウフさん姉妹は、薬の仕分けをしてジッパー付きの袋に入れていくことに。しかし、一生懸命仕分けている最中に「これが朝の分? え? 昼も飲むことになったの?」と質問しながら、仕分け済みの薬をぐちゃぐちゃにしてしまいます。触らないで待つように言っても、返事が立派なだけで、数秒後には同じことの繰り返し。仕分けが終わるころには、相当な時間がかかっていました。

認知症は、難しくてもどかしい

喫茶店で薬を仕分けている最中、あーちゃんが「お手洗いに行ってくるわ」と席を立ちました。ワフウフさん姉妹は、いつものことだとあまり気に留めていなかったのですが、しばらくして店内にガタガタという音が響き渡り、慌てて駆け付けると「ドアが開かないのよ!」というあーちゃんの叫び声が聞こえます。ビックリしてワフウフさんがドアに手をかけると……あっさりドアは開きました。もしかして、ドアの開け方を忘れてしまった……!?

甘いものを食べたり買ったりするのを私たちに注意されると、それは無意識だと主張するようになったあーちゃん。

「記憶がない=無意識」と、都合の良い解釈をして、自分なりに納得しているのでしょう。

でも、買う瞬間や食べる瞬間は、意識はあると思っています。認知症だから、それを忘れてしまうだけなのでは?

それとも、認知症って実は、多重人格のように「認知症の自分」に乗っ取られてしまうのでしょうか……? 理解はしたいと思うけれど、わからないことが多すぎて、本当にもどかしいです。

そんなあーちゃんは、決まった場所なら今でもひとりで行けますが、昔からとにかく方向音痴。それを自覚していて、さらに怖がり&依存心が強い性格もあり、認知症になる前から目的地がわからないとすぐに周りの人に助けを求めていました。

自分で探そうとしない態度にイライラしたこともありますが、今になってみれば、その性格がゆえに認知症がまあまあ進行している状況でも、迷子にならないのだと思っています。

認知症になってからも付き合いを続けてくれるお友だちもいて、電車で会いに行くこともあります。もちろん、お友だちも事情はわかっているので、迷子にならないように配慮をしてくれます。これは本当にありがたい!

今はわからなくなっても、人に聞きながらなんとかやっているようですが、自分のいる場所や最寄り駅がわからなくなったら……? と思うと、正直不安です。

最近、甘いものを食べたり買ったりするのを私たちに注意されると「無意識っていうのは怖いものね」と言うようになったあーちゃん。決して無意識ではなく、買うときは意志があるけど、ただ忘れてしまうだけ……だと思っているのですが。忘れてしまうのは仕方がないにせよ、せめて買う瞬間に自制してくれれば……という思いを込めて、あーちゃんの財布には「お菓子を買わない!」というメモを見えるように入れています。一体どうしてあげればいいのか、理解したいのにわからないことが多すぎて、本当にもどかしいのです……。

認知症が進行していても、あーちゃんは決まった場所であればひとりで移動できています。娘の家までの道順はわからなくなっていても、週に一度のダンスのレッスンには、2回の乗り換えも難なくこなして通っています。これって、冷静に考えるとすごいことなのかも……!

昔から方向音痴だったあーちゃんは、自分でもそれを自覚しています。さらに怖がりで依存心も強い性格。それゆえ、目的地がわからないと、自分で探そうとせずにすぐ周りの人に聞くのがお決まりです。お店が目の前にあっても、人に聞いてしまうなんてこともありました。ちょっと周りを見ればわかるのに! と昔はよくイライラしていましたが、今となればその性格のおかげで迷子になっていないのだと思います。ただ、いつ自分のいる場所や帰り方がわからなくなってしまうのかと思うと不安です。目の届かないところに行かないでほしい……なんて、親への心配というより、子どもへの心配のようになってきています。

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お出掛けや友人とのおしゃべりを楽しんでほしいと思う半面、周りに迷惑をかけてほしくないし、怖い思いもしてほしくない……。たしかに、どんどん成長して行動範囲が広がっていく子どもを見守る、親の感情に近いものがあります。介護をするということは、こういったもどかしさをどうやって消化していくかも、常に考えなくてはいけない難しさがありますね。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

著者/ワフウフ
昭和を引きずる夫、成人した息子娘を持つ50代主婦。実母のアルツハイマー型認知症発覚をきっかけに備忘録としてAmebaでブログを始める。2019年一般の部にてAmebaブログオブザイヤー受賞。
2023年4月、書籍「アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護」発売。

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