他にもポテンシャルがありそう
目のつけどころは案外間違っていなかったようだ。すると主演最新作『その着せ替え人形は恋をする』でこの右手ポテンシャルがはっきり明示される。第1話冒頭を見ると、主人公の高校生・五条新菜(野村康太)が、祖父・五条薫(山田明郷)とふたりの朝食場面で配膳係を担っている。
祖父が座るテーブルに腰を下ろし、椀と茶碗を置くのは右手(!)。シャツの袖をまくりあげ、手首もちゃんとでている。しかも左手は丁寧にネクタイをおさえる。さりげなく細かいなぁ。完璧である。ちょうど腰まで写る画面上で、慎ましく右手がそっと配膳する動きをこうして押さえてしまえば、こっちのものだ。
右手のポテンシャルスター俳優としての野村康太が、ここに誕生した。人形屋の孫として雛人形の衣装作りに励んでミシンを動かす新菜が、後ろで見守る薫を見上げる場面では、目をぱちくり、眼球をくるくるさせる。どうやら目そのものの演技はまだ定着していないようである。ここは沢村の目力ビームを参考にして、他にもポテンシャルがありそうな部位ごとの演技を完成させてほしい。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
配信: 女子SPA!
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