親が担う料理の大変さ。高校生がごはんを作り、感じたこと
「感謝の晩ごはん」プロジェクトは、現在毎年1~2回、テスト前後や長期休暇の期間に実施されています。
生徒たちは家庭で料理を作り、その過程や家族の反応をレポートにまとめて提出します。この取り組みは、生徒に料理の技術だけでなく家族との絆を深め、感謝の気持ちを育むことが目的です。
実際にプロジェクトを始めてから、湯浅さんはその効果を強く実感していると言います。家庭での料理経験により、生徒たちは親への感謝の気持ちを再認識し、その気持ちがラグビーのフィールドにも良い影響を与えているのです。プロジェクトは、生徒たちにとって大きな成果をもたらしました。
プロジェクトに参加している高校2年生の中田さんは、この取り組みで普段では感じにくい感謝の気持ちを実感したと語ります。
「家族のために料理を作る『感謝の晩ごはん』が自宅トレーニングの一環になったことで、普段とは異なる視点で家族とのコミュニケーションが取れました。母がいつも自分の栄養を考えて料理を作ってくれている姿を見習って、自分でも料理を作ってみました。その過程で、母が担っている日々の料理の大変さを体験し、改めて感謝の気持ちが芽生えました」
また、中田さんは湯浅さんの指導方針についてもこう話してくれました。「湯浅先生は、日常生活とラグビーのフィールドは地続きだと教えてくれました。小さな行動一つひとつがフィールドでのプレーに影響を与えると実感しています。日常生活を丁寧に過ごすことで、ラグビーのプレーも向上するという考え方が身に付きました」
「文武両道でなく文武一道」。湯浅さんの指導のアプローチは、通常の技術指導に留まりません。ラグビーの練習に加えて、本を読むことや芸術活動を奨励し、幅広い知識と発想力を養うことが重要だと伝えています。
「ラグビーはコミュニケーションのスポーツなので、語彙力が重要になります。また、プレーを数式に例えるための数学的思考力や仮説を立てて実験する理科的発想力に加え、情報収集と戦略立案の社会科学的知識も必要です」と湯浅さんは語ります。
こうした指導により、生徒たちは自らが置かれた現状を正確に認識し、自分の課題を克服するための具体的な方法を見つけ出す力を養います。湯浅さんの下で成長した生徒たちは、ラグビーのフィールドだけでなく、社会に出たときに必要なスキルを身につけ、自己成長を続けられるようになるでしょう。
料理が育む「感謝の力」が生み出すもの
湯浅さんらしい教育信念を象徴する取り組みである「感謝の晩ごはん」プロジェクト。料理を通じて生徒たちは感謝の気持ちを学び、家族との絆を深めます。このプロジェクトは、当たり前の日常に対する感謝の気持ちがどれだけ大事なのか、大切な人との信頼関係の基礎を築くための素晴らしい機会だと感じました。
コロナ禍以降、学校の宿題として家庭で家族のために料理をすることが課題として出されるケースは増えましたが、「感謝の晩ごはん」というテーマで、料理の意味をしっかりと伝えている事例はまだ少ないように思います。
料理を作る意味や料理を通じて身近な人へ感謝の心を育む大切さを教えることは、生徒たちの成長にとって非常に重要に感じました。
常に「ありがとう」「とっても美味しかったよ」と感謝の言葉を素直に言える関係を築くことで、信頼関係の基礎ができあがります。、これが日常生活とラグビーのフィールド、ひいては社会生活全般において非常に重要だと教えているように感じました。
最後に、これから高校ラグビー選手権予選も始まります。湯浅さんの指導のもと、チームが勝ち進むことを祈っています。
配信: クックパッドニュース