オファーが絶えない50歳人気俳優、“役者業”以外でも活躍できるワケ…「アメリカ映画」初主演も話題に

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「徒花であっても無駄花ではない」は監督の美意識そのもの


――タイトルでもある“徒花(あだばな)”に言及するシーンも印象的です。「徒花であっても無駄花ではない」と。そこに続く言葉は、読者にはスクリーンで見てもらいたいと思いますが、井浦さんは、あそこで語られた言葉に何を感じますか?

井浦:とても好きな表現です。命の意味は、次の世代を残すためだけに存在するのではないと思います。甲斐(さやか)監督は、本当に残酷で特異な世界観を持っている監督ですが、ただ残酷だったり、狂気だったりするのではなく、ベースに美しさがあります。

その美しさも、どこか完璧じゃなかったり、土臭かったり、沈まないようにもがいているような姿の中に一瞬見えるきらめきのような。『徒花』というタイトルや、そのシーンは、監督の美意識そのものだと感じました。

――「それ」との呼び名に思うことは。

井浦:そこにも甲斐監督らしい残酷性が出ていると思います。

お芝居も物づくりもデビューからずっと二足のわらじ

――井浦さんご自身についてもお聞かせください。映画にドラマにと観ない日がありません。俳優業以外のこともされています。どう時間を工面しているのか不思議です。ご自身としては戦略的に分析してきっちりバランスを取っているのか、それとも、「やってしまう」のでしょうか。大変では?


井浦:お芝居も物を作ることも、自分自身が好きだからというのが、基本にあります。これが誰かからやらされているのなら、壊れてしまうかもしれないし、何かを止めたくなったり、時間もうまく使えないかもしれません。

でも自発的なので、忙しくなったとしても、時間の使い方が自然と上手になっていくんです。自分ひとりだったらぐちゃぐちゃになるかもしれませんが、事務所をはじめ、周りがスケジュールを管理、調整してくれてもいますし。

それにいきなり環境が変わって忙しくなったわけではありません。デビューからずっと、お芝居と物づくりの二足のわらじです。時間をかけてやってきているので戸惑いもありません。毎年毎年、今年のほうが去年を更新していると実感できることは幸せです。

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