中国人に聞く「ニラレバ炒め」の作り方
日本でニラレバ炒めは、町中華をはじめとする小規模店舗、またラーメン店などで定食として多くみられます。中国も同様で、個人経営の小さな店や、学生食堂、会社の社員食堂、そして“家常菜”といわれる家庭料理として人気で、大規模な中国料理店ではあまり扱っていないメニューといっていいでしょう。材料も味も、日本と中国でほとんど違いはないといえます。
唯一の違いは、先述のように、中国では家庭で作られることも多いことに比べ、日本ではほとんどが外食として、ラーメン店など町中華の店舗で食べられていることです。家庭で作るというのは少数派で、その理由を、中華大好きという日本人女性に聞くと「自分で作るより外で食べた方が絶対おいしいから」と言います。
「回鍋肉(ホイコーロー)や青椒肉絲(チンジャオロースー)は自宅でもおいしく作れるけど、ニラレバ炒めは作れない。日本人はレバーの処理に慣れてないですから」
その通りで、日本のスーパーで生のレバーが売られているのは希少です。中国の場合、自由市場でもスーパーでも、普通に売られています。ニラレバ炒めで使用される、豚、牛、鶏のレバーは、それぞれ血が残ったままパッケージされているので、家庭で作る場合、まずはレバーの洗浄から始めなければなりません。日本人がニラレバ炒めを家庭で作らないのは、レバーの下処理が面倒だからともいえます。
中国の友人から聞いたニラレバ炒めの作り方は、おおまかに言うと、こうなります。
(1)薄くスライスした豚(牛・鶏)レバーに片栗粉10グラム、料理酒大さじ1を振る。2分ほどもみこみ、血を抜いたらそのまま10分ほど置く
(2)ニラ、ニンジン、もやしなどを準備する
(3)(1)のレバーをよく洗い、血を洗い流す
(4)調味料を加えつつレバーを炒め、色が変わったら取り出して、野菜を炒める
(5)レバーを加えたら出来上がり
最も手間がかかるのはレバーの処理ですが、それでもやっぱり、栄養豊富なレバーは欠かせない食材なのだそうです。
生活に根付く「医食同源」意識
中国人は「医食同源」、食事と医療は同一だという考え方を強く持っています。これは何千年もの間に中華民族の常識と化していて、今でも生活に深く浸透しています。
日本語において「肝心要(肝腎要)」とは、特に重要なことを表しますが、これも肝臓と腎臓が重要な臓器であることから始まっています。
中国も同様です。中国語の「百病不離肝」とは、「病気のすべては肝臓に依る」という意味になります。特に夏の終わりから秋のはじめ、季節の変わり目には代謝が滞りがちになるため、肝臓の働きも衰えてきます。しかし、肝臓さえしっかり機能できていれば、睡眠不足に陥ることも少なく、いい精神状態を保つことができるといいます。肝臓が健全に機能すると、精神も穏やかで怒ることが少なくなるのだそうです。
そんな大切な肝臓に有益な食品の筆頭が、レバーです。レバーは貧血改善に一定の効果があることはよく知られていますが、中国では肝臓の代謝能力を高め、体内の毒素の排出を促してくれる、健康促進に欠かせない食品といわれています。
レバーの他、肝臓の働きを健全に保つ野菜類というのもあって、代表的なものとして、ニラ、セロリ、ブロッコリー、カリフラワーなどが挙げられています。つまり、ニラレバ炒めは、臓器の中でも非常に重要な肝臓の働きをよくする料理といえるのです。
「医食同源」という観点からすると、ニラレバ炒めは、肝臓、ひいては健康維持に最適のメニューなのかもしれません。
配信: オトナンサー
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