Snow Man渡辺翔太がバラエティMCに圧倒的に向いているワケ。過去にも見せていた“振る舞い”とは

Snow Man渡辺翔太がバラエティMCに圧倒的に向いているワケ。過去にも見せていた“振る舞い”とは

主題歌とトップバッターが完璧に同期

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 まるで構成作家の役割も引き受けるかのように、スタジオで実践的にさらっと振る舞ってしまえる。単なる進行役ではなく、番組全体をコントールする役目であるMCに向いていないはずがない。『この世界は1ダフル』自体が彼のMC的才能を引き出してもいる。記念すべき最初のVTRはオグシオこと小椋久美子と潮田玲子が選ぶリオ五輪バドミントン女子決勝だった。

 大逆転を決定づけたワンショットなど、注目ポイントが細かい。続く大林素子セレクションに対してダブルMCの東野幸治が「渋いなぁ、この番組」と鋭いコメントをしている。

 そう、この番組の視点は細かく「渋い」のである。ちょうどぼくらが渡辺の演技を語るときもどれだけ渋いと言われようが徹底的に細かいところに着目してしまう。ワンショットごとに苦しいくらいいちいち心ときめく『青島くんはいじわる』では、演出と呼応する渡辺の細やかな演技が実際の画面上にいくらでも確認できる。

 特に各話のクライマックス。エンディングのクレジットが表示される直前だ。雪乃にしろ青島にしろ、どちらかが相手への強い気持ちを行動に移すとき、あまりに絶妙なタイミングでSnow Manによる主題歌「君は僕のもの」が画面を満たす。きたきた。思わずはしゃぎたくなる。この一瞬のときめき。視聴者は魔法にかけられる。同ナンバーを歌うトップバッターである渡辺の歌いだしを待ちながら、マジカルなイントロのコーラスに耳が喜ぶ。

 テレビドラマの主題歌としてアーティストが単に楽曲提供したんじゃない。タイトルロールを演じる俳優が主題歌を歌い、その上で主題歌とトップバッターが完璧に同期する。第3話で雪乃を試した青島が風邪をひいたふりをする。呆れて帰っていく雪乃を追いかけるクライマックスでは、渡辺の歌いだしを待てずにぼくらが画面めがけて走りたくなった。

令和最強の“萌え”として認定されるべき

 出演俳優と主題歌がここまで見事にはまるのは、たぶん山下智久主演の『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』(フジテレビ、2009年)以来じゃないかなぁ(主題歌はB’zの「イチブトゼンブ」)。ベタな音楽演出ではあるものの、クライマックスから次話へと経過するワクワク感としてこれ以上効果的な運び方はないだろう。

 映画でもそうだけど、どうして最近のドラマは単なるタイアップ楽曲ばかりで、こういうベタな演出をやらなくなったのかね。かつての日本映画では、主演俳優が主題歌を歌うことが当たり前のようにあった。ちょっと古いが例えば、鶴田浩二。代表作『傷だらけの人生』(1971年)の同名主題歌を鶴田さんが歌ってる。それだけでカッコいい。商業的な映像の美学とはそういう単純さに凝縮されるものだ。

 いきなり話題がえらく遠くなったと思われるかもしれないが、ここでわざわざ昭和の名優の名をだしたのにはちゃんと理由がある。筆者が偏愛する鶴田主演作『明治侠客伝 三代目襲名』(1965年)冒頭近くで主人公が緑色の暖簾からちょこっと顔をだして人探しをする場面がある。これが昭和最大の激萌え仕草だと思っているのだが、『青島くんはいじわる』第4話で温泉宿に泊まった青島が男湯のうす青色の暖簾をくぐる場面は、令和最強の美しさを誇る萌えとして認定されるべきだと思ったからだ。

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