山口県光市の住宅に強盗に入ろうとしたとして、関東地方に住む14歳から18歳の少年3人が強盗予備の疑いで逮捕された。
報道によると、少年たちはマイナスドライバーや粘着テープを所持していたという。また、互いに面識はなく「闇バイト」に応募して集まったとみられる。
今回の事件で逮捕容疑となった強盗予備はどのような罪なのだろうか。そして、3人の少年たちは今後どうなるのか。坂口靖弁護士に聞いた。
●強盗予備はどんな罪
強盗予備は「強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する」(刑法237条)と規定されている犯罪です。
この犯罪が成立するためには、まず「強盗の罪を犯す目的」が必要であり、それは確定的なものである必要があると考えられています。
また、「予備」とは単なる計画や謀議だけでは足らず、強盗の決意を外部的に表現するような行為がされたという状態だと考えられています。
具体的に強盗予備が成立する場合としては、「強盗の実行を決意して、凶器を携えて目的地に向けて出発する行為」「強盗を共謀して、出刃包丁等を買い求め、これを携えて徘徊する行為」などと考えられています。
実際に暴行や脅迫行為に及んだような場合には、強盗未遂罪が成立するため、強盗予備罪は、強盗の実行行為そのものには着手していないものの、上述ように一定の強盗の準備行為がされたと評価できる場合に成立する犯罪となります。
●通常の「少年事件」として処分される可能性が高い
強盗は5年以上の懲役刑とされている極めて重大な事件となります。
このような強盗事件の重大性に鑑みて、強盗予備罪も規定されたものとなります。
しかし、強盗予備罪は、いまだ強盗の危険の発生は抽象的なものに留まるため、その法定刑は2年以下の懲役というようにそこまで重い量刑とはなっていません。
この点、報道の少年3人は、「互いに面識がない」にもかかわらず「住宅街に集まって侵入用の工具などを持っていた」とのことであり、「強盗を共謀して、進入用の工具を携えて集合していた」と評価しうるものと考えられ、強盗予備罪が成立する可能性は十分に認められるように考えられます。
ただし、前述のような強盗予備罪の比較的軽い法定刑から、18歳以上の特定少年であったとしても、原則逆送事件ではないため、通常の少年事件として、基本的には保護観察処分や少年院送致処分という保護処分となる可能性が高いと想定されます。
配信: 弁護士ドットコム