センスのいい家族が暮らす家【vol.15 大パノラマから山間の自然を享受する家・関れいみさん邸 】 | HugMug

大人も子どもも、家族みんなが過ごしやすい家づくりに大切なことってなんだろう? vol.15では、神奈川・逗子に住居とアトリエを構える〈&her(アンドハー)〉のディレクター・関れいみさんの新居を訪れました。切り立った崖の下、建物が浮遊するように突き出る建物は、まるでSF小説に現れる秘密基地のよう。リビングにいるだけで全面の窓から周囲の自然を味わえる大パノラマは圧巻。さっそく理想の住まいのヒントを探ります!

profile

関れいみさん
〈&her〉ディレクター
大手アパレルメーカーに勤務した後、東京から逗子に移住したのを機に独立。夫とレディースブランド〈&her〉を7年前に立ち上げる。今まで大量生産が主流だったファッション業界で受注生産というスタイルを打ち立てる。売れ残った洋服を廃棄しないためのサスティナブルな服づくりに取り組み、体型に合わせたセミオーダーも実施。全国に幅広い年齢層のファンがいる。
Instagram:@reimiseki

FAMILY:4人家族(パパ・ママ・長男11歳・次男7歳)
HOUSE TYPE:一軒家/注文
HOUSE DETAIL:居住歴4ヵ月/495.03㎡(延床面積93.80㎡)/1LDK
AREA:神奈川県逗子市

こだわりの住まいについて

サンダーバードの秘密基地を
崖の下で再現したい

神奈川・逗子の山手に関さん家族が新居を建てたのは2024年7月のこと。15年も空いていたという雑草だらけの空き地を購入した理由を伺うと、「サンダーバードの秘密基地をつくりたかったから」というユニークすぎるアンサーが返ってきた。その言葉どおり、関さんの新居があるのは逗子の山間の切り立った崖の下。まるで岩に埋め込まれた要塞のように、岩肌から建物が飛び出している。その佇まいに直面した来客は、だれもが驚くそう。

住居に入るには急な坂道を登り、石が転がっている道も上がらなくてはいけない。小学校に通う子どもたちは毎日ここを往復しているとのことで、さぞ足腰がしっかりしてくるだろうと想像できる。まさにアクティブな男児たちを育てるには絶好のロケーション。

LIVING & DINING

逗子の自然を享受できる
大パノラマのリビング

狭めの廊下を進むと視界がパッと開いて、リビングの向こうに大パノラマが出現。角部屋の壁を全面窓にすることで、高台の住まいから下に広がる風景を一望できる形になった。日が暮れると、暗闇の中に路面電車が浮遊するように走り抜け、その幻想的な様子はまるで「銀河鉄道の夜」。どこまでも物語の延長線上にある関邸なのだ。

心地いいリビングの時間を過ごすために、小さな工夫がさまざまな箇所に備わっている。例えば、壁に付けるとどうしても目立ってしまう大きめのエアコン。オーダーメイドのテーブルの下部にあえて収納して、格子をあしらうことでインテリアを邪魔しない空間に仕上がっている。

窓の下には、壁に合わせて造り付けのモルタルベンチを設置。窓辺の好きな場所に腰かけられるので、外の景色が自由に眺められる造りに。ちょっとした小物も置けるので、オブジェをディスプレイするのにも役立っている。

リビングやキッチンにはできるだけ家具や道具を置かないのが、関家の今のところのルール。あまりに借景がすばらしいため、室内を家具で埋め尽くしてしまうより、外の豊かさを室内からも楽しもうというのが狙い。

「だからこそ、配置する家具はしっかり選びました。置ける場所も限られているので」と話す関さん。ダイニングテーブルの上に吊るした個性的な照明は、この新居のために渋谷の〈maidens shop〉で購入した「LAFABLIGHT」。幾重にも張り巡らされたロープが独創的で、オブジェとしても成り立つ存在感。和とも洋とも受け取れる佇まいは、謎めいた秘密基地にとてもフィットしている。


リビング脇のテレビスペースは、子どもたちのゲームスペースになることも。パパがしっかり綿を打ち直した〈Mario Marenco(マリオ・マレンコ)〉のソファに座って、兄弟の大切な時間に。

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