【光る君へ】伊藤健太郎“双寿丸”は現実の“恩知らずぶり”を吹き飛ばして一条天皇と惟規が視聴者に与えた「目の保養と癒やし」を担えるか

 衆議院選挙が行われた10月27日、通常より50分早く前倒し放送されたNHK大河ドラマ「光る君へ」第41話「揺らぎ」に、がっつり登場した伊藤健太郎演じる双寿丸。振り返れば、初登場回のさる9月29日放送の第37話「波紋」で、美しさとたくましさをチラ見せして話題になっていた。

 そして、10月20日放送の第40話「君を置きて」では、まひろ(吉高由里子)の娘・賢子(南沙良)が買ったばかりの果物を物盗りに奪われてしまい、追いかけるも、物盗りの仲間と思しき男どもに囲まれピンチに陥っていたところで颯爽と登場。物盗りの男たちをバッタバッタとなぎ倒した。足を傷めた賢子を背負って家に送り届け、助けてくれたお礼にと食事をふるまわれると「こんなにゆっくりめしが食えるなんて…!」と喜んでバックバク食べるシーンが描かれた。

 そんな双寿丸は「平為賢に仕える武者」と名乗っていたが、今週の第41話では、こんなシーンが。双寿丸が仕えている平為賢の一団と偶然にも路上で遭遇した賢子は、最後尾を歩く双寿丸を発見。賢子に気付いた双寿丸は一団から離れ「これから盗賊を捕まえに行くんだ」と賢子のそばに来る。と、賢子は「気を付けてよ」と心配MAX。「おう」と答えながら一団に戻る双寿丸の背中に向かって、賢子が「帰ってきたら、またうちに夕餉(ゆうげ)においでなさい」と声をかけると、双寿丸は「わかった」と言わんばかりに右腕を天に向かって突き上げた。双寿丸を見つめる賢子の表情は、明らかに恋する乙女そのものだった―。

 おそらく賢子と同じような表情で双寿丸を見つめる視聴者が、かなりいたように思う。それほど伊藤演じる双寿丸は魅力的だった。10月13日放送の第39話「とだえぬ絆」では、今作の「癒やし」と呼ばれ愛されていた高杉真宙演じる藤原惟規、先週の第40話では、「目の保養になる」と慈しまれていた塩野瑛久演じる一条天皇が退場となったため、実質上2人が抜けた「穴」を伊藤演じる双寿丸が担うことになる。

 実生活では恩を仇で返すように、2020年10月に起こしたひき逃げ事故の後始末をしてくれた古巣の事務所を退所し、小栗旬が社長を務めるトライストーン・エンターテイメントに移籍する可能性が高いと言われている伊藤。せめてドラマの中だけでは、現実を忘れさせてくれるほど、まっすぐな心を持つかっこいい若武者でいてほしい。

(森山いま)

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