大阪で10月会員集会を開催、1~8月の植物油の総供給量は前年比1.5%増/日本植物油協会

大阪で10月会員集会を開催、1~8月の植物油の総供給量は前年比1.5%増/日本植物油協会

日本植物油協会(日油協)は10月22日、大阪市のホテルで10月度会員集会を開いた。その後の記者会見で、佐藤達也会長(J-オイルミルズ社長)は業界の課題などを述べた。

業界の環境について、「2021年に食品業界各社は原料高騰に見舞われた。それと比較すると現在は安定しているものの、依然として国際情勢は不透明だ。日米の金融政策や米国の景気動向、為替の乱高下に加え、紛争、異常気象などが各地で発生しており、先行きが見通せない状況が続いている」と述べた。

植物油の市況については、「1~8月の植物油の総供給量は前年比で1.5%増えている。内訳は大豆油6.5%減、菜種油10.5%増となっている。ただ、コロナ前の19年比では総供給量は10.3%減っており、大豆油2.7%減、菜種油9.6%減と、重量ではコロナ前の水準に回復していない。全体的には厳しいが、米油は前年比11.5%増、19年比21.8%増と好調だ。健康油のイメージが定着して実需に結びついている」と話した。

外食産業の状況に触れ、「コロナ禍で生活パターンが変わり、懇親会や二次会などがなくなったことで、パブ・居酒屋が回復できていない。一方ファストフード、ファミリーレストランはコロナ前まで回復していると感じている。販売価格が上がったことも影響し、植物油の出荷量に反映するまでには至ってないが、これから回復していくことを期待している。植物油業界でもいろんな取り組みをしていく」とした。

続けて、「1~8月の一世帯当たり食用油支出は21年度以降価格改定があったことで、19年比で22%増えている。一方購入数量は販売価格の上昇が影響して11%減っている。平均単価は37%増加している」と説明した。

〈オリーブ油は290万t程度に回復見通し、大阪・関西万博で植物油の需要生じる期待〉

足元のオリーブ油の状況については、「オリーブの最大の生産国であるスペインが2年連続で不作となり、世界のオリーブ油の生産量が21年330万t、22年、23年は240万t程度に減った。24年は、スペイン産オリーブの生産量が回復に向かっている。スペインはこれからがオリーブの収穫最盛期だが、現時点では不作前の水準に戻るのではないかと期待されている。世界のオリーブ油は290万t程度に回復すると見られている」と見通しを示した。

国内のオリーブ油の状況については、「値段が上がったことで需要が大きく落ちている。各社、小容量品を提供したり、ブレンド油を発売したり、努力を続けている。これから盛り返していかなければならない。仮にスペインが豊作で原料の買い付け価格が下がっても、影響が出るのは4月以降であり、タイムラグが発生することに理解してもらう必要がある」と述べた。

来年開催される大阪・関西万博への期待感については、「期間中、2,800万人超の来場が見込まれている。会場、周辺地域で植物油の需要が生じることを期待している」とした。

欧州委員会が2日、EU森林破壊防止規則(EUDR)の適用開始日を12カ月間延期する提案を発表したことについて、片桐薫専務理事は「菜種は規制対象品目ではないが、主要な油糧種子である大豆、パーム油が対象品目に含まれるので、今後の動向に注視する必要があると考える」とした。

その後の会員懇親会では、佐藤会長のあいさつに続いて、久野貴久副会長(日清オイリオグループ社長)が乾杯の発声を行った。中締めは、大森達司不二製油社長が行った。

〈大豆油糧日報2024年10月28日付〉

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