郵便料金が値上げされた2つの背景
ここからは郵便料金がなぜ値上げされたのか、以下2つの背景を解説していきます。
・デジタル化の進展による郵便物数の減少
・人件費や燃料費などコストの上昇
順番に見ていきましょう。
デジタル化の進展による郵便物数の減少
郵便料金が値上げされた背景として、メールやSNS・デジタルツールなどの利用が増え、デジタル化の進展による郵便物数の減少があります。
経済産業省「引受郵便物等物数」の引受郵便物等物数の推移によると、ゆうパックのような荷物は増加傾向にあるものの、郵便物は年々減少傾向となっています。
また年賀状に至っては、以下のように約10億通も減少しているのです。(経済産業省「引受郵便物等物数(年賀)」)
郵便物が減少すれば郵便事業が赤字傾向になり、現在の料金のままでの運営は困難となります。
郵便事業を立て直し、安定して事業提供を続けるためには郵便物の値上げせざるを得なくなったというのが現状です。
人件費や燃料費などコストの上昇
人件費や燃料費などコストの上昇によって郵便事業が圧迫され、値上げにつながった背景もあります。
近年は人手不足や物価高の影響から、全国的に人件費のベースアップが図られており、日本郵便においても例外ではありません。
ましてや郵便事業は各世帯へ配達しなければならないので、配達員の存在が欠かせず、機械に頼れない業務も多いことから人件費の比率が高い事業です。
燃料費の上昇により、日本全国・海外へ配達するための輸送コストもこれまで以上に増大しています。
人件費や燃料費などによって上昇したコストを郵便物の価格へ転嫁しなければ、これまで通りの郵便事業を続けられないため、今回の郵便料金の値上げに至っています。
郵便料金の値上げで企業は大きな影響を受ける
今回の郵便料金の値上げで大きな影響を受けるのは、主に企業です。
これだけSNSやメールといったツールが発展しているなか、頻繁に手紙のやりとりをしている家庭は多くないでしょう。
しかし、以下のように郵送業務が欠かせない企業は少なくありません。
・通販やECサイト運営企業
・公共料金事業者
・金融機関・カード会社
・行政・自治体
・民間企業(製造業、建設業、不動産業、卸売業など)
これらの企業は請求書や通知書・ダイレクトメール・カタログなどの郵送頻度が多い傾向にあります。
郵便物の種類にもよりますが、今回の郵便料金の値上げによっておよそ30%前後のコスト増大が見込まれるでしょう。
配信: コンポスのコラム