およそ2週間前に開かれた刑事裁判の結果を知るために、再び札幌地裁を訪れた。
被告人は60代の無職。執行猶予中にレッカー業者の胸ぐらをつかむなどの暴行を働いたとして逮捕された。前回の裁判の内容は以下の通り
https://sodane.hokkaido.jp/column/202410172200004869.html
執行猶予中での犯行にも関わらず、被告は「ワンちゃんがいるので実刑ではなく罰金刑にしほしい」という言い分を繰り返していた。
検察側は懲役10か月を求刑、弁護側は罰金刑を求め裁判は結審し、判決は2週間後に決まった。
青いスポーツサングラスと紺の作業着上下…男が法廷に現れた
そして迎えた判決の日。
法廷の外の廊下では、傍聴好きの市民らが前回の裁判の様子について話に花を咲かせていた。
そして裁判が開かれ、男が法廷に姿を現した。服装などは前回と全く同じ。
裁判官が現れ、判決公判ならではのスピーディーな段取りが進んでいく。
裁判官「あなたに関する暴行事件について裁判所の結論をお伝えしますので真ん中に来てください」
被告「はい」
裁判官「主文被告を懲役5か月に処す…(中略)判決理由をお伝えしますのでもとの席にお戻りください」
被告「ワンちゃん…」
このあと裁判官から、認定した事実と量刑の理由について裁判官から伝えられる。被告は裁判官の話をさえぎるかのように、時折同じ言葉をつぶやいていた。
裁判官「被告は●月●日、レッカー会社の被害者Aさんのレッカー車に同乗させてもらい、自宅まで同乗さえてもらいながら…」
被告「ワンちゃん…」
裁判官「被告はレッカー代を支払うことに納得いかないとして…」
被告「ワンちゃん…」
裁判官「量刑の理由についてお伝えします。被告は前の刑の執行猶予中に犯行に及びました。被告は令和5年にも事件を起こし、令和6年にも暴行事件を起こし、このときは被害者は2人におよびます。わずか5か月足らずで…」
このあとは裁判官の話をじっと聞いていた被告。
裁判官は、被告の犯行について精神病の影響が大きいとは言えず、刑を猶予すべき特段の事情はあるとは言えないと伝えた。
被告は、時折すすり泣いていた。
心を決めた被告 最後に出てきた言葉は謝罪ではなかった
裁判官は反省をうながしていたが、その言葉は被告に届かない。それよりも「ワンちゃん」のことで頭がいっぱいだったようだ。
裁判官「今後あなたがどう対応するのか」
被告「はい」
裁判官「被害者におわびするとか」
被告「はい」
裁判官「控訴審を求めるのか」
被告「はい、控訴審で。ワンちゃんがいるんで」
裁判官「どのようにするか決めてください。控訴するとすれば、2週間以内に申請書をお出しください」
被告「はい」
裁判官「弁護士さんと相談するとか」
被告「控訴します。はい」
………………
そして、裁判は終わり、被告は再び拘束された。そして、またつぶやいていた。
被告「控訴します」
弁護士「その話はここ(法廷)出てからにしてちょうだい」
………………
飼い犬4匹のために、裁判で戦いたいと話す被告。しかし、高等裁判所がこの訴えを受け入れ、控訴審を開くかどうか。個人的には難しいのかもしれないと思った。
配信: SODANE