10月25日(金)、都内の会場で料理人限定キャリアサポートSNS「(以下、シェフリンク)」ローンチイベント発表会が行われました。これは、シェフ同士が交流を深めたり、働ける店を探せたりと、シェフの“キャリア”にフォーカスしたアプリとのこと。いったいなぜ、こうしたアプリが誕生したのか。また、実際のシェフの声も聞いてきました。
シェアダインとは、「食の世界からソーシャルトランスフォーメーションを駆動する」と掲げ、食産業を通じた社会変革を目指す企業。2017年5月の創業以来、家庭の食事を出張シェフで支える「シェアダイン」や、必要な時に即戦力の料理人に仕事を依頼できる企業向けのシェフマッチングサービス「スポットシェフ」の展開を通じて、1万人以上の料理人とリレーションシップを構築してきました。
株式会社シェアダイン共同代表・井出有希さん(左)と、同社CTO/シェフリンク開発責任者の平塚貴之さん(右)
そんなシェアダインが今回新たに打ち出したのは、フリーランスや副業で活動する料理人を支援する料理人専用キャリアサポート SNS「CHEFLINK(シェフリンク)」。本アプリが開発されたきっかけについて、シェアダイン共同代表の井出有希さんは次のように話します。
「現在の飲食業界は、コロナ禍を経てインバウンド需要の盛り上がりも加わり、慢性的な人手不足に陥っています。従来一般的であった“自分のお店を持って独立する”というゴールに対して、フリーランスや副業での働き方を考える料理人が増加していますが、それを支える場が不足している状況です」
加えて、シェフからの生の声もアプリ開発への契機となったといいます。
「既存のスポットシェフのサービスでは、これまで約1万人のシェフの皆さんに利用していただき、『様々なジャンルの店で経験を積める』『自分に合った時間や職場を選択できる』といった満足度の高い声をいただいてきました。ただ、一方で見えてきたのは、シェフの皆さんが抱えていたお悩み。たとえば、『いままでと違うジャンルの料理店や業態にチャレンジしたいが、その機会が限られている』『独立したいが調理以外の知識や技術を学べる機会が少ない』『料理人同士のネットワーク構築の場がなかなかない』といったものです」
そんなシェフ達の悩みを解消し、飲食業界に新たな風を吹かせようと考案されたのが、シェフのキャリア形成に役立つアプリ、シェアリンクだといいます。その特徴を、シェフリンク開発責任者の平塚貴之さんが解説してくれました。
「特徴は大きく3つ。1つは、同じシェフという道を歩む人たちとアプリを通してつながれるということ。あらゆるジャンル・年齢層の、普段はなかなか接点がないシェフ同士と出会い、お互いのキャリアを相談したり、参考にしたりすることができます」
「2つ目は、仕事探しにおいて。これまでシェアダインが続けてきたスポットシェフを活かし、ミシュラン星付きのレストランから流行の飲食店まで、さまざまな店で好きな時間に働くことができるようサポートする機能があります。1つの店に縛られず、多様な店で経験を積み、正当な評価を受けることでプロフェッショナルへの道を極める一手となるはずです。
3つ目は、AIがその方のプロフィールを作成し、強みをしっかりとアピールしてくれること。簡単な質問や過去の経験を入力すれば、AIがその人の強みを分析し、適切な自己PRを考えてくれます。自分をアピールすることを苦手とする料理人の方を助け、お仕事の確定に導けたらと思います」
こうした機能によって、シェフ同士がコミュニティを形成しやすくし、自身の目標に向かって進みやすい環境が整っていくことが見込まれます。
同イベントに参列していた、実際に同社のスポットシェフサービスを活用に登録してきたという宇佐美甲子郎さんも、今回の新アプリに期待感を持っているそうです。
「これまでもスポットシェフとして様々な店を回ってきたことは大きな経験となっています。とはいえ、1つの店に行って出会えるシェフは2,3人ほどのことが多く、連絡先を交換してもそれっきりの関係のことも……。今回のアプリを使えば、最大1万人ものシェフの人と繋がり、コミュニケーションがとれることになる。それが楽しみだし、ぜひ活用したいと思います」
スポットシェフが初対面のシェフと共同作業
イベント後半では、実際にこの日が初対面の料理長と2人のフリーランスのシェフが、息を合わせて調理する様子も見せてくれました。
今回、調理を担当したのは、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ オールデイブッフェ「コンパス」の総料理長の當間元氏。そこに、和食中心に20年程飲食業界に携わってきたという吉道大輔氏と、フィリピンのセブ島でレストランを経営しながら日本で出張シェフも行っているという辻真樹氏が加わっての調理となりました。
調理中の様子。當間氏(左)が2人に指示を出している。
調理の最初は、當間氏による指示出しからはじまり、フリーランスシェフ2人がそれに習う形で調理は進みました。2人とも調理歴20年という実績もあり、すぐに當間氏の意図を汲み取り粛々と料理していた印象。時折、當間氏が2人の担当する調理過程をチェックしにいき、「いいですね」などとコメントする場面も。
今回、3人が調理した料理は絶品でした!調理後、當間さんはこんなコメントを。
「スポットシェフのお二人は初対面でしたが、伝えた指示をうまく飲み込んでくれて、想像以上に助けてもらいながらスムーズに進められました。今後もスポットシェフの方の助けを借りていきたいと思います」
今回参加したフリーランスシェフの辻真樹さんも、「かつては学びたい技術があれば、その店に『無給でいいので勉強させてください』と頭を下げて頼み込まなければいけなかった。でも、スポットシェフを活用すれば気になる店で経験を積むハードルが下がるのでありがたいです」と、サービスへの満足度は高い様子。
本アプリにより、これまで見えづらかった料理人の「コミュニケーションや学ぶ場の欠如」という課題の解消に一歩近づいたようです。
●シェアダイン提供サービス一覧
・料理人専用キャリアサポート SNS「CHEFLINK(シェフリンク)」:https://chef-link.me
・ご家庭向け出張シェフサービス「シェアダイン」:https://sharedine.me/
・飲食事業者向けシェフマッチングサービス「スポットシェフ」:https://spot-chef.com/
配信: リアルプレス