年間をとおして食卓に登場し、サラダやつけ合わせに大活躍のトマトですが、じつは生で食べているとほとんど吸収できない栄養素があるのをご存じでしょうか。とはいえ、いくら加熱がおすすめと言われても、「トマトのビタミンって加熱すると壊れるのでは?」と思う人もいますよね。
今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクター・気象予報士として活躍する植松愛実さんに、トマトの栄養についてわかりやすく解説してもらい、「もったいない」食べ方を避ける方法を教えてもらいます。
最重要の栄養素!?リコピンまでの壁が厚い
トマトにはビタミンCやβカロテン、カリウム、食物繊維などさまざまな栄養素が含まれていますが、なかでも注目されているのがリコピンです。抗酸化作用があり、美肌づくりにはもちろん、生活習慣病の予防にも効果があるとされています。
リコピンはもちろんトマトだけに含まれる栄養素ではなく、スイカや金時人参、パパイヤ、マンゴーなどにも含まれていますが、スイカは夏しか食べない人が多いと思いますし、金時人参やパパイヤを日常的に食べる人もあまりいないと思いますので、トマトから摂取するのがいちばん現実的。つまり、リコピンはトマトを食べるうえでぜひとも摂取したい「最重要」の栄養素なのです。
ところがこのリコピン、生でトマトを食べるだけでは、ほとんど吸収することができません。というのも、リコピンを守っている細胞壁(さいぼうへき)はかなりしっかりしていて、ふつうに包丁で切ったり、歯で噛み切ったりした程度では壊れないのです。そのため、トマトを食べてリコピンを摂取するには、こまかくすりおろすか、加熱する必要があります。
トマトを加熱したら栄養は壊れないの?
トマトを加熱する必要性はわかったけど、加熱してしまったらビタミンなどほかの栄養素が壊れるのでは?と思うかもしれません。実際、ビタミンCに関しては、やはり加熱によりある程度壊されてしまいます。
しかし、そもそもビタミンCはほかの野菜やフルーツからもとることができますし、ビタミンのなかでもβカロテン(人の体内でビタミンAとして働きます)は加熱ではあまり壊れないため、トマトを加熱調理しても摂取することができます。
そのため、トマトは加熱して食べるのがおすすめ。もちろん生で食べる日があってもかまいませんが、毎回生だけで食べるのではなく、ときどき加熱して食べる機会を作ってみてください。
配信: サンキュ!