認知症を患う義母の介護を通して、私たち家族が大きな試練に直面したときのお話です。
義母にしのび寄る認知症
義父との熟年離婚後、義母は1人暮らしを始めました。自由な生活を楽しんでいるようでしたが、次第に変化が現れ始めました。物を捨てられず溜め込む傾向が強くなり、家の中は足の踏み場もないほどになりました。さらに、被害妄想が出始め、「隣人が私の物を盗んでいる」などと訴えるようになりました。
現実を受け入れられない義母を見て、私たちきょうだいは交代でお世話をすることにしました。しかし、それぞれの生活や仕事との両立は想像以上に難しく、徐々に疲れが溜まっていきました。
きょうだい間の関係が悪化
ある日、義母の介護について話し合う中で、きょうだい間の意見の相違が表面化しました。「もっと頻繁に様子を見てほしい」「仕事が忙しくて無理だ」など、お互いの立場や思いがぶつかり合い、ついには口論に発展してしまいました。
その後、きょうだい関係は冷え切り、連絡を取り合うこともなくなりました。「義母のことを思う気持ちは同じなのに、なぜこんなにも対立してしまったのか……」。家族の絆の大切さを痛感すると同時に、深い後悔の念に苛(さいな)まれました。
配信: 介護カレンダー