小嶋陽菜さんを抱きついて押し倒した男性逮捕、暴行罪以外に問われる可能性は?

小嶋陽菜さんを抱きついて押し倒した男性逮捕、暴行罪以外に問われる可能性は?

AKB48の元メンバーで、タレントの小嶋陽菜さんに抱きついて押し倒したとして、ファンとみられる男性が暴行の疑いで警視庁に現行犯逮捕された。

報道によると、男性は10月29日、東京・渋谷の路上で、写真集発売イベントのあとに会場から出てきた小嶋さんに抱きついて押し倒した疑いが持たれている。

警視庁には8月上旬、小嶋さんの関係者から「イベントで大騒ぎする過激なファンがいて困っている」という相談が寄せられていたそうだ。

小嶋さんの所属事務所は10月29日、公式サイトで声明を発表。「小嶋陽菜に怪我はありませんでした」としつつも、法的措置をとることを明らかにした。

今回の逮捕容疑は「暴行罪」であるが、他の罪に問われる可能性はないのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●不同意わいせつ罪にあたる可能性がある

まず、逮捕された男性の行為は、小嶋さんに後ろから抱きついて押し倒すというものですから、不同意わいせつ罪(刑法176条)にあたる可能性があります。

報道によると、男性は「暴行を加えるつもりはなかった」と供述していることから、性的意図はないように思われます。

この点に関して、最高裁判所はかつて、強制わいせつ罪の成立に性的意図が必要であるとしていました(最判昭和45年1月29日)。

しかし、最高裁はその後、一律に性的意図を要件とすることは相当でないとして、判例変更しています(最判平成29年11月29日)。

●ストーカー規制法違反にあたる可能性も

つぎに、男性は被害者のファンだったようですから、ストーカー規制法違反にあたる可能性もあります。

ストーカー規制法は、ストーカー行為(同一の者に対して、つきまとい等を反復してすること)をした人について罰則規定を置いています。

この法律は、軽犯罪法で処罰の対象となっている行為(軽犯罪法1条28号〔追随等の罪〕や軽犯罪法1条5号〔粗野・乱暴の罪〕)よりも悪性の強い行為を処罰するものです。

ストーカー規制法違反が成立する場合には、軽犯罪法1条28号や5号の罪は成立しないとされています。また、軽犯罪法1条28号や5号の罪は、暴行罪(刑法208条)に吸収されることとなります。

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