2016年5月に東京・小金井市で音楽活動をしていた冨田真由さん(当時20歳)がファンの男性に刺された事件で、犯行を未然に防ぐ義務を怠ったとして、冨田さんと母親が警視庁を管轄する東京都などに損害賠償を求めた訴訟の本人尋問が10月30日、東京地裁であった。
傍聴席と証言台の間に遮蔽措置がとられた法廷で、冨田さんは被害に遭うまでの経緯などに関する質問にか細い声で答えた。
事件前に加害者から「結婚したい」と言われたり、友人らに「私が殺されたりしたらあの人だから」と相談していたりしたことを明かした。
●事件前に「殺されるかも」と警察に相談
訴状などによると、冨田さんは2016年5月21日、小金井市のライブハウス近くで、ファンの男性(殺人未遂で懲役14年6カ月が確定)に、刃物で首や胸などを刺されて、一時重体となった。
冨田さんは事件前、警視庁武蔵野署に「殺されるかもしれない」と相談。「(ライブ)当日は見回りをさせますから大丈夫ですよ」と言われたため、安心していいと考え、当日ライブ会場に歩いて向かっていたところを男性に襲われたという。
冨田さんと母親は2019年7月、警視庁が適切に対応していれば事件を防げたなどとして、東京都、当時の所属事務所、加害者を相手取り、計約7600万円の損害賠償を求めて提訴していた。
配信: 弁護士ドットコム