猫の平均寿命は年々延び、ご長寿猫も増えていますが、一方でかかることが増えている病気も。そのひとつががんです。今回は、猫がかかるがんで最も多い血液がんの一種「リンパ腫」について、王子ペットクリニック院長の重本仁先生が解説します。
猫のがんに多いリンパ腫ってどんなもの?
リンパ腫とは、リンパ球という免疫細胞が腫瘍化したものです。正常なリンパ球は、万一体に異物が侵入した場合、それを防御するために増殖し、その結果、免疫反応としてリンパ節が腫れます。
しかしリンパ腫の場合、免疫反応と関係なく、リンパ球が複数のリンパ節やさまざまな臓器の中で無制限に増殖し、リンパ節の病的な腫れや臓器のしこりなどの病変をつくります。
体にしこりがあるからといって悪性腫瘍とは限りませんが、リンパ腫の多くはしこりがあります。
若い猫でもリンパ腫にかかる
リンパ腫の発症には、免疫の異常やウイルスが影響していると考えられています。猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルス(通称・猫エイズ)に感染している猫は、そうでない猫に比べて発症リスクが高いとされており、なかでも猫白血病ウイルスに感染している猫は、1~3才で発症する傾向が。
また、猫種でいうとシャムがかかりやすく、比較的若年で発症する可能性があるとの報告もあります。全体に、若くても発症するのがリンパ腫の特徴です。さらに受動喫煙による発症リスクは倍以上になります。