超音波検査はどのような検査なのか?
超音波検査は、人には聴取できない程度の高い周波数の音波(超音波)を利用して体内の様子を調べる検査です。ゼリーを塗布したプローブ(探触子)を人体にあて超音波を送信し、反射波を受診して映像化することで、臓器や組織の様子を確認できるのです。
超音波をあてた時、人は痛みや刺激まったく感じないため、人体に悪影響がほとんどない低侵襲の検査であると言えます。
超音波検査でわかること
心臓超音波検査
心臓の超音波では、心臓の大きさ・形・拍動するときの動き・心臓内の弁膜の動きを調べます。心臓の大きさは手拳大であり、先のとがらない円錐を逆さにしたような形をしています。しかし病気が隠れている場合には心臓の形や大きさが本来のものから変化していたり、血流に変化が生じたりするのです。
心臓超音波で発見できる病気は、心不全・心臓弁膜症・心筋症・心膜炎・心嚢炎・心筋梗塞・先天性心疾患(心室中隔欠損や心房中隔欠損など)などです。
腹部超音波検査
腹部超音波検査では、胃カメラや大腸カメラなどで確認できない消化器系・泌尿器系の臓器について検査が可能です。男女共通の臓器で言いますと肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓・尿管・膀胱であり、男性では前立腺、女性では卵巣・子宮を観察できます。
腹部超音波で発見可能な疾患は、肝臓や胆のう、膵臓や腎臓・膀胱などの癌・肝硬変・肝血管腫・胆管結石・脂肪肝・腎結石・尿管結石・腎のう胞・水腎症・卵巣嚢腫・子宮筋腫などです。
血管超音波検査
血管超音波検査は、血管自体に解剖学的な変化はないか、狭くなっているところがないか、プラーク(隆起)がないかなどを調べる検査です。エコーをあてる場所は、調べたい血管によって異なり、頸動脈や下肢、腹部の血管などです。
人の血管は20代の若い世代まではしなやかなゴムのような軟らかさですが、年齢を重ねると老化により血管自体が硬くなったり、詰まりやすくなったりします。
血管超音波で分かる病気は閉塞性動脈硬化症・腹部大動脈瘤・動脈硬化・深部静脈血栓症・腎動脈狭窄などです。
甲状腺超音波検査
甲状腺は喉の中央付近にある臓器で、左右対称の蝶の形をしており、内分泌・代謝をつかさどる甲状腺ホルモンを放出する臓器です。基礎代謝やタンパク質代謝に影響するホルモンを支配しますが、病気を発症した場合でも甲状腺自体に痛みなどは感じにくく、罹患を自覚しにくい臓器です。
甲状腺エコー検査では、大きさや形、血流等に変化がないかを調べます。甲状腺エコーで発見可能な病気は、甲状腺がん・橋本病・バセドウ病・無痛性甲状腺炎・線腫様甲状腺腫・濾胞線種・乳頭線種などです。
乳腺超音波検査
乳腺超音波検査では、乳房の内部を調べます。乳がん検診では触診やレントゲン検査がありますが、触診やレントゲンでも気づかないような小さなしこりや腫瘤・炎症を発見しやすいのが乳腺超音波です。
乳腺超音波検査で発見できる病気は、健診では乳がん・乳腺の良性腫瘍・で、産褥期にり患の多い授乳期の褥婦さんでは、乳腺炎・乳腺膿瘍の発見が可能です。乳腺腫瘍が良性か悪性かの判断をする場合には、乳腺超音波の画像を参考に患部を穿刺し、組織を調べます。
配信: 医科歯科健診コラム