●被害者は日本刀で応戦
つまり窓ガラスは一向に割れなかったが、そもそも鍵が開いている窓を発見したことから、侵入に成功したのだった。
指示役からは“1億案件”と言われているため、実行役らは速やかに被害者宅に侵入し、在宅していた夫婦と子どもを制圧するためにそれぞれ部屋を移動した。2階にいた子どもの手首を縛り、実行役の一人が見張るなか、他の実行役が夫婦の制圧に動くが、ここでまた、強盗たちにとっての番狂せが起きた。
●日本刀で応戦、奪われると脇差を抜いた被害者
夫が日本刀で応戦したのだ。
このとき強盗らと命懸けで格闘した夫に対しても証人尋問が行われた。別室から、当時の様子をこう証言する。
「子どものいる2階からものすごく大きな音がしたので何かと思いました。すぐに自分の部屋から出て妻の部屋に向かうと、部屋には男が2人いて、1人は白いお面を被っていた。妻が『刃物持ってるよ』と言ったので危険を感じました。
シルバーの10センチくらいの何か、物を持っているお面を被っていた男から『殺すぞ』と言われたので、家族を守らなければと思い、自分の部屋に急いで戻りました。タンスの中に日本刀があったのでそれを取り出しました。当時15本くらいは持ってたと思います」(夫の証言)
日本刀収集をしていた夫が、その一本を手に取り強盗に立ち向かおうとすると、強盗たちは夫の手元などを押さえ、刀を抜かせないように抵抗してきた。
「そのうち、犯人らが自分の刀を持って逃げていきましたので、すぐに私はもう一本、短いやつ……脇差を取りに行きました。脇差を抜いて、犯人を追いかけながらリビングに向かいましたが、もう犯人の姿は見えませんでした」(同)
配信: 弁護士ドットコム