【年代別】おすすめの「漢方薬」の選び方! 効き目・服用時の注意点も医師が解説!

【年代別】おすすめの「漢方薬」の選び方! 効き目・服用時の注意点も医師が解説!

漢方薬はドラッグストアでも購入することができ、今では広く普及しています。しかし、使用にあたって、「年齢制限はないの?」「子どもでも大丈夫?」などの疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。今回は、各年代におすすめの漢方薬について、「東西医学ビルクリニック」の齋藤先生に解説していただきました。

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監修医師:
齋藤 竜太郎(東西医学ビルクリニック)

帝京大学医学部卒業。川崎幸病院での勤務を経た1999年、「東西医学ビルクリニック」副院長に就任、2005年より院長に就任。東洋医学と西洋医学の結合による、心と身体にやさしい医療の提供と研究をおこなっている。日本整形外科学会専門医。日本東洋医学会、日本整形外科学会、日本統合医療学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本バイ・ディジタルオーリングテスト協会の各会員。

漢方薬に年齢制限はある?

編集部

漢方薬に年齢制限はあるのでしょうか?

齋藤先生

いいえ、基本的に年齢制限はありません。なかには子どもに適した漢方薬もあり、多く処方されています。ただし、漢方薬のみならず、一般の市販薬も含めて「生後3カ月未満の乳児には使用しない」というのが一般的な考え方です。

編集部

なぜ、生後3カ月未満の乳児には使用できないのですか?

齋藤先生

その時期の赤ちゃんは体が未発達であり、薬剤の服用には適さないためです。

編集部

子どもでも、大人と同じ分量を服用していいのですか?

齋藤先生

明確な規定はありませんが、一般には下記のとおりとされています。

2歳未満:成人用量の1/4以下

2歳以上4歳未満:成人用量の1/3

4歳以上7歳未満:成人用量の1/2

7歳以上15歳未満:成人用量の2/3

そのほか、体重や体格に準じた処方量を増減する方法もあります。

編集部

漢方薬を飲んではいけない人はいるのですか?

齋藤先生

基本的に、漢方薬を飲んではいけない人はいませんが、漢方薬の種類によっては飲んではいけない人もいます。例えば、B型慢性肝炎やC型慢性肝炎の治療薬として用いられる「インターフェロン」と「小柴胡湯(しょうさいことう)」の飲み合わせは、間質性肺炎のリスクがあるので禁忌とされています。

編集部

ほかにも、漢方薬を服用するとき注意しなければならない人はいますか?

齋藤先生

妊娠中の場合には胎児への影響も考え、産婦人科の医師に相談することをおすすめします。

【年代別】おすすめの漢方薬

編集部

年代別におすすめの漢方薬は異なるのでしょうか?

齋藤先生

年齢と漢方の関係については、女性を例にして考えるとわかりやすいかもしれません。例えば、女性に多く用いられる漢方薬には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などがあります。女性の場合、年代によって出現する症状やトラブルは大きく異なります。それらを考慮しながら、どの漢方薬を使用するかを決定します。

編集部

具体的には、どのように決めるのですか?

齋藤先生

思春期(初潮がきてから月経が安定するまでの期間)には、女性ホルモンの分泌が始まる関係で、体に大きな変化が起こり始めます。そのため、心身のバランスが乱れやすく、月経痛や月経不順、PMS(月経前症候群)に悩まされることもあります。その場合には、月経のバランスを整えることを目的に、漢方薬を使用します。

編集部

その後は?

齋藤先生

思春期が終わると成熟期に入ります。20歳前後から30代前半が成熟期の前半にあたり、妊娠や出産に最も適した時期に入ります。その後、40歳前後になると成熟期の後半に入り、女性ホルモンの一種エストロゲンの分泌が少しずつ減少してきます。また、仕事や家事などでも多忙な時期になります。このように、成熟期は色々な変化が激しい時期なので、自律神経を整えたり、女性ホルモンの働きをサポートしたりする漢方薬を使用するといいかもしれません。

編集部

女性の一生のなかで、変化が激しい時期ですね。

齋藤先生

はい、成熟期には不妊治療で漢方薬を使用する人もいます。ただし、不妊治療と一口にいっても原因は人それぞれなので、例えば、冷えがある人にはお腹を温め妊娠しやすい体づくりをサポートすることもあります。

編集部

成熟期の後は?

齋藤先生

閉経が起きる前後5年間を更年期と言い、この時期は卵巣の働きが衰えたり、エストロゲンの分泌量がさらに減少したりして、ホットフラッシュやのぼせ、ほてり、イライラ、うつ症状などの更年期障害に悩まされる人も出てきます。その場合、更年期障害の症状を落ち着かせたり、女性ホルモンのバランスを整えたりすることを目的に漢方薬を使用します。

編集部

その後はいかがでしょうか?

齋藤先生

更年期が過ぎると、老年期に入ります。この時期には高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高まったり、視力や聴力などが低下したりして、体の老化が進みます。このような加齢による変化を緩やかにして、心身ともに健康であることをサポートするために、漢方薬を服用することもあります。

編集部

老化に効く漢方薬もあるのですね。

齋藤先生

はい。東洋医学の考えでは、老化の状態を「腎虚(じんきょ)」と言います。腎は体の成長や発達に関わる機能を司っており、その機能が低下することで老化が起きると考えられています。その際、腎機能をサポートするための補腎剤として「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を用いることもあります。