2024年10月1日に『ホームレスパパ、格差を乗り越える 何も変わらなかったから考え方を変えた』(KADOKAWA)を上梓したお笑いコンビ麒麟の田村裕さん。
中学2年生で父親の「解散!」の一言で住む家を失い、公園でホームレス生活を送った経験を自叙伝『ホームレス中学生』(ワニブックス、2007年)に綴り、ミリオンセラーを記録しました。現在は、10歳、7歳、4歳のお子さんを育てるパパとして、子育てに奮闘しています。
今回は、子育てをする中で博多華丸・大吉の華丸さんからもらったアドバイスや、44歳で亡くなった母の年齢を越えたことに対する思いを聞きました。
「ホームレス中学生」が、パパになって悩んでいること
――ご自身が中学2年生の時に家族がバラバラになるという経験をしたことで、その分、今のご家族を幸せにしたいと気負いを感じることはありますか?
田村:それが今の一番の悩みかもしれません。自分が子どもの頃は何もかもが足りなかったので、子どもに同じ思いをさせたくなくて過保護になってるんじゃないかと不安で。お菓子や、おもちゃ、服もすぐに買い与えてしまうし、習い事もやりたいことは全部やれと言ってしまいます。この前、長女の誕生日プレゼントを買いに行ったとき、次女にも買ってあげたくなって選んであげたら、「おかしくない?」と長女にツッコまれました(笑)。甘やかし過ぎているのかなと、少し心配してます。
子どもたちの才能は全部引き出してあげたくて、習い事をあれこれさせようとしたら、奥さんに「送り迎えがしんどい」と言われたことがありました。「子ともたちのためなのに、なんてやる気がないんだ」と思ってしまったのですが、コロナ禍で仕事がなくなって家で過ごすうちに、家事や育児をしながら習い事の送迎をするのが簡単なことじゃないと理解することができました。少しでも奥さんに対する信用を失っていた自分が恥ずかしいですね。できるだけ奥さんと協力して困難を解決しようとするようになりましたけど、理想の父親には程遠いなと思います。
――芸人仲間から子育てや夫婦関係についてアドバイスをもらったことはありますか?
田村:2人目が生まれる少し前に、奥さんが「地元の大阪で子育てがしたい」と希望したとき、僕は東京で仕事があったので単身赴任になってしまうことに悩みました。そこで華丸さん(博多華丸・大吉)に相談したところ「奥さんのやりたいようにやるのが一番いい、奥さんの機嫌が一番大事ばい」と助言をいただきました。その後、大阪に引っ越したのですが、時が経てば経つほど「なるほど、ありがたいアドバイスやったなあ」と思います。
後輩芸人に喜ばれた、育児のアドバイス
――田村さんが、芸人仲間に子育てのアドバイスをすることはありますか?
田村:後輩たちに必ず言うのは、「“俺は手伝ってる”という思い込みが一番危険。奥さんがやってほしいことを理解しないと、家の中のやるべきことは減らない。自己満足にならないように気をつけろ」ということです。
例えば、赤ちゃんが泣いているとき、奥さんは計算して無理にあやさないこともあります。「オムツは替えたばかりだし、おなかも空いてない、今は少し泣かせておいたほうが夜しっかり寝るな」と考えているのに、たまたま家にいる夫が「何でほったらかしてるの」と、“やってます感”丸出しであやしてたら、奥さんはめちゃくちゃ腹立ちますよね。だから、奥さんが本当に何をやってほしいと思っているのか、夫婦で擦り合わせることをサボらないほうがいいとよく言っています。
あと、産後はホルモンのバランスが崩れて余計にしんどいから、奥さんが普段よりも気が立っているからといって、それが本性だとは思わないほうがいいということです。
――後輩さんたちの反応はどうですか?
田村:「聞いておいてよかったです」と言ってくれてます。特に感謝されるのは、「2人目が生まれたら、『奥さんは1人目のときに慣れているから大丈夫だろう』と慢心しないほうがいい」というアドバイスです。奥さんは、上の子を見ながら赤ちゃんを育てるのは初めてだから、すごく大変な思いをするんです。それなのに、1人目のときよりも手伝わなくなる夫が多いらしく、それを一生恨んでいるという話を以前聞いたことがあります。
だから僕自身も、2人目が生まれたときは単身赴任でしたが、家にいるときはできる限りのことをしようと気をつけました。心当たりのある方は、この記事を旦那さんに見せて、トークテーマにしてもらうと、伝わりやすいかもしれないですね(笑)。
配信: 女子SPA!